(3)対応
APRAは、以下の方法により、適合性と適正性に関する基本的な期待を強化することを提言する。
・適合性・適正性についての方針で定めた厳格なプロセスに従うだけでなく、適合性・適正性の結果に対する規制対象事業体の責任を強化する。
・適合性と適正性の定義、およびその結果を検証する必要性をより具体的にする。
APRAは、以下のような追加的な事項を盛り込むことを提言している。
・利益相反の事実や潜在的な利益相反および利益相反とみなされうるものと義務
・民事、刑事、規制上の問題から生じた違反行為などで適合性・適正性に懸念が生じる可能性があるもの
・過去の組織における財務実績および評判を含む、人物像または規制に関する参照
・その役割に十分な時間を割くことができるかどうか
・風評リスク
・適合性・適正性再評価のトリガーを次のように明確にする。
・個人がFAR
10に基づく義務を果たしていない、または最低限期待される適性やパフォーマンスを満たしていないと考える根拠がある場合
・重大な不正行為または企業の行動規範に反する行動があった場合
・刑事、民事、または職業上の手続きにおいて不利な結果が出た場合
・風評リスクをもたらしうる個人的状況の変化があった場合
・適合性と適正性に影響を及ぼす可能性のある懸念が生じた場合、決定が下される前であってもAPRAに通知することを義務付ける。
また、FARは、規制対象事業体に対し、APRAと「オープンで建設的かつ協力的な方法」で対応するために合理的な措置を講じることを求めている。この義務に準拠し、APRAが責任者候補と現職の責任者に関する見解を形成できるよう、APRAは以下を提言している:
・規制対象事業体が、個人の適合性と適正性に関する懸念について適時に解決されない場合、APRAが事業体主導の再評価を要求できるようにする。
・SFI 及び監督強化の対象となっている非 SFI に対し、取締役等の任命又は公表に先立って、後継者育成計画及び指名についてAPRAに報告することを義務付ける。
・健全性に関する実務ガイダンスにおいて、APRAは、任命または再任に先立ち、取締役等候補との面談を要請する場合があることを注記する。これは例外的な措置であり、APRA が抱える懸念を払拭するために更なる情報が必要な場合である。
APRA が規制対象事業体の取締役等候補または現職の取締役または取締役会の実績に満足しない場合、APRA は規制対象事業体と意見を共有し、事業体が懸念に対処する行動をとらない場合、APRAの監督強化につながる。
10 Financial Accountability Regime:財務説明責任制度