(1) 実施のタイミング
業界では、最初の先制的な再建計画を2028年半ばまでに準備することを求めている。
少なくとも 2027 年までの移行期間を設けることで、最初の計画が策定されるまでに EIOPA の規制及び実施技術基準 (RTS及びITS) とガイドラインが確定し、これらの技術文書に含まれる要件が考慮されるようになる。
また、殆どの保険会社にとって先制的な再建計画の策定は反復的なプロセスとなり、会社とNCAs との協議を通じて何年もかけて微調整されることが予想される。計画の最初のバージョンに対する監督当局の期待はこれを反映したものであるべきである。
(2) 定義が不明確
評価減又は転換ツールにおける(保険契約の条件を変更した場合の条件変更後の)「強制的な最低補償」、先制的な再建計画の更新を引き起こす「重要な変更」、先制的な再建計画の内容の中で必要とされる「是正措置」等、いくつかの主要な概念では、EU全体で一貫した適用を確保するために明確な定義が必要となる。
(3) 最小市場カバレッジ要件
各管轄区域における先制的な再建計画及び破綻処理計画のための最小市場要件の範囲を定義するための以下のアプローチを支持する。
最小要件に達するためには、NCAが既にグループ計画を要求しているグループ及び子会社を最初に考慮すべきである。これらの計画の市場カバレッジの合計が最小要件を満たさない場合にのみ、NCAは、グループ計画を持たないより重要性の低い会社、グループ又は子会社からの先制的な再建計画及び破綻処理計画に関連する情報の要求を検討すべきである。
(4) 子会社の計画要件
子会社レベルの計画は、グループ計画で問題に対処できない場合にのみ必要とすべきであると強調し、以下のステップを提案している。
グループ監督者とNCAがグループの先制的な再建計画を受け入れる場合、子会社に対してこれ以上の措置が必要ない。グループの先制的な再建計画がNCAに受け入れられず、グループのリードNCAと子会社のNCAとの間の意見の相違を解決するためのあらゆる手段が利用された場合、保険会社との協議の後、リードNCAは次のいずれかを要求すべきである。
・グループ計画で十分に対処されていないと考えられる子会社の特殊性に対処することに限定して、(グループの先制的な再建計画内の) 原文書に子会社レベルの附属書を追加する。
・監督当局の懸念に対処する現地の再建計画を作成する。
(5) 資金調達の取決め
特に、サービスの自由(Foos)及び設立の自由(FoE)のルールの下で国境を越えて事業を行う会社の場合、破綻処理のための資金調達メカニズムについてより明確化する必要がある。
破綻処理資金調達のための取決めの特徴と設計、特に取決めの資金調達(即ち、事前、事後又はそれらの組み合わせ)を決定するのは加盟国でなければならない。しかし、複数の加盟国が関与する破綻処理の文脈において、破綻処理資金調達がどのように扱われるかについての明確化が役立つかもしれない。
(6) 重要な機能
EIOPAの重要な機能に関するガイドラインは、各国の裁量を考慮し、欧州全体の保険市場の多様性を考慮する必要がある。
EIOPAは、NCAがそれぞれの市場の重要な機能を特定するために、国の裁量を得て、ハイレベルの方法論を提供することを目指すべきである。また、方法論は、例えば、社会や金融市場における保険の役割など、各国の特徴に対応できるように柔軟であるべきである。ある加盟国で重要な機能として分類されたものが、他の加盟国でも重要な機能として、デフォルトで分類されるべきではない。また、加盟国の保険会社が遂行する重要な機能はないと結論付けることも可能であるべきである。
(7) その他のトピック
さらに強調された領域には、計画の機密性、破綻処理当局の責任、保険ビジネスの特殊性、保険市場間の違いなどがある。
4―まとめ