4|破綻処理計画
破綻処理計画は、保険会社が破綻処理のための条件を満たしている場合に、どのような破綻処理戦略(ツールと権限の使用を含む)を効果的に破綻処理するために追求するかを設定しようとするものである。破綻処理計画には、破綻処理可能性の評価が含まれ、その後、特定された破綻処理可能性の障害に対処するための代替措置を講じることができる。
破綻処理当局は、保険市場の少なくとも40%(生命保険市場では技術的準備金、損害保険市場では収入保険料に基づく)が破綻処理計画を作成及び(少なくとも2年毎に)更新する義務を負うことを保証しなければならない。SNCUは、監督当局が国・地域レベルで特定のリスクを表していると考える場合を除き、対象とならない。
破綻処理当局は、破綻した場合に、破綻処理措置が公共の利益になる可能性が、その権限の下にある他の会社と比較して高いと評価する保険会社について、破綻処理計画を作成する。これらの評価は、少なくとも、破綻処理の目的を達成する必要性、事業の規模、ビジネスモデル、リスクプロファイル、相互関連性、代替性、及び特に国境を越えた活動を考慮に入れる。
先制的な再建計画と同様に、破綻処理計画はEUグループのレベルで適用され、そのようなグループの破綻処理計画で十分にカバーされていない場合、個々の会社に適用される。
破綻処理計画は、破綻処理ツールを保険会社に適用し、破綻処理権限を行使するためのオプションを定めなければならない。破綻処理計画には、(1)計画の主要な要素の要約、(2)破綻処理計画の観点から関連する保険会社に関する一連の情報の要約、(3)破綻処理戦略の記述、(4)重要な機能
6及び中核的な事業ラインを他の機能からどのように法的及び経済的に分離することができるかの実証、(5)担保として適格であると予想される資産の特定、(6)財務継続性を確保するための望ましい破綻処理戦略の実施に必要な資金需要ニーズ及び資金調達源の記述、(7)重要な利害関係者グループとのコミュニケーション戦略、(8)破綻処理可能性の評価の詳細な記述;、(9)該当する場合、破綻処理計画に関連して保険会社が表明した意見、等について、適切かつ可能な場合には定量化して、含める必要がある。なお、計画の主要な要素の要約は、保険会社に開示されなければならない。
さらに、グループの破綻処理計画は、(1)重要な機能の継続性を確保するための各事業体の破綻処理措置の概要、(2)破綻処理の手段と権限を協調的に適用できるかどうかの検討、(3)第三国の関係当局との協力と調整のための取決めの特定、(4)グループの破綻処理を促進するために必要な措置の特定、(5)グループの破綻処理措置に資金を提供するために利用可能な資金源の特定、も含まなければならない。
なお、破綻処理当局は、破綻処理計画及びその変更を関係監督当局に伝達しなければならない。
保険会社又は最終的な親会社は、破綻処理当局に対して、破綻処理計画の策定及び実施に必要な全ての情報を協力して提供しなければならない。また、関係加盟国の監督当局は、破綻処理当局と協力して、これらの情報の一部又は全部が既に利用可能であるかどうかを検証し、当該情報を破綻処理当局に提供しなければならない。
6 「重要な機能(critical functions)」とは、保険会社又は再保険会社が第三者のために行う活動、サービス又は業務で、合理的な期間内又は合理的な費用で代替できないものであり、保険会社又は再保険会社が当該活動、サービス又は業務を遂行できない場合、特に、多数の保険契約者、受益者又は被害者の社会福祉への影響、又は保険サービスの提供に対するシステムの混乱又は一般的な信頼の喪失から生じる影響を含め、1つ又は複数の加盟国の金融システム又は実体経済に重大な影響を及ぼす可能性があるものをいう(IRRD第2条(25))。
重要な機能の特定は、破綻処理計画の重要な部分であり、破綻処理計画の範囲と公益評価の結果に影響を与える。