ブラジルGDP(2024年10-12月期)-内需・外需ともに冴えず前期比0.2%

2025年03月10日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:前期比0.2%、前年比3.6%と鈍化

3月7日、ブラジル地理統計院(IBGE)は国内総生産(GDP)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【実質GDP成長率(2024年10-12月期)】
前年同期比伸び率(未季節調整値)は3.6%、市場予想1(4.0%)を下回り、前期(4.1%)から低下した(図表1・2)。
前期比伸び率(季節調整値)は0.2%、予想(0.4%)を下回り、前期(0.7%)から減速した。

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:内需・外需ともに冴えない結果

24年10-12月期の実質GDP伸び率は前期比0.2%(季節調整値、年率換算0.7%)となり、前期(前期比0.7%、年率換算3.0%)から減速した。コロナ禍前(19年10-12月期)比では11.2%だった(図表4・5)。また、伸びのトレンドが見やすい前年比では3.6%と、前期(4.1%)から伸び率が低下した。24年暦年の成長率は3.4%(23年は前年比3.2%)だった。

成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費が▲1.0%(前期:1.3%)、政府消費が0.6%(前期:0.8%)、投資が0.4%(前期:2.3%)、輸出が▲1.3%(前期:▲0.7%)、輸入が▲0.1%(前期:0.9%)となった。内需では投資が減速したほか、個人消費がマイナスに転じた。貿易では輸出入がともにマイナス成長となり、内需・外需ともに総じて弱含む結果となった。

コロナ禍前との対比では、個人消費が10.0%、政府消費が9.4%、投資が21.3%、輸出が17.8%、輸入が21.4%だった(図表4)。
産業分類別に実質GDPの伸び率を見ると(図表3・5)、第一次産業は前期比▲2.3%(前期:▲1.1%)、第二次産業は同0.3%(前期:1.0%)、第三次産業は同0.1%(前期:0.7%)となり、いずれの分類も前期から悪化した。

より細かい業種では、第二次産業の電気・ガス(前期比▲1.2%)、第三次産業の情報・通信(同▲0.4%)、金融(同▲0.3%)のマイナスが目立っている。一方、第二次産業の建設業(同2.5%)、製造業(同0.8%)、鉱業(同0.8%)が高めの伸びを記録している(図表3)。
10-12月期の名目成長率は前年同期比7.5%(前期:8.0%)に上昇した。その結果、名目と実質成長率の差(デフレータに相当)は3.6%(前期:4.0%)からわずかに低下した。なお、消費者物価指数(IPCA)の上昇率は1月まで4か月連続で中銀目標(3±1.5%)の上限を若干超過しており、ブラジル中銀は直近1月会合まで4会合連続となる利上げを実施している(合計2.75%ポイント引き上げ)。

輸出デフレータと輸入デフレータはいずれも前年比で伸び率が拡大するなか、輸出物価の伸びが輸入物価を大きく上回ったため、交易利得が前期に比べて大幅に拡大した(図表6)。

経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

 ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
  アドバイザー(2024年4月~)

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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