2024~2026年度経済見通し-24年7-9月期GDP2次速報後改定

2024年12月09日

(斎藤 太郎) 日本経済

■要旨
 
<実質成長率:2024年度0.4%、2025年度1.1%、2026年度1.2%を予想>
 
  1. 2024年7-9月期の実質GDP(2次速報値)は、外需の上方修正などから1次速報の前期比0.2%(年率0.9%)から前期比0.3%(年率1.2%)に上方修正された。
     
  2. GDP2次速報の結果を受けて、11月に発表した経済見通しを改定した。実質GDP成長率は2024年度が0.4%、2025年度が1.1%、2026年度が1.2%と予想する。成長率見通しは変えていないが、「103万円の壁」引き上げによる可処分所得の増加を見込み、2025年度以降の民間消費を上方修正する一方、トランプ次期大統領の経済政策による米国、中国の成長率下振れを反映し、輸出を下方修正した。
     
  3. 輸出が景気の牽引役となることは期待できないが、2024年度後半以降は、民間消費、設備投資を中心に潜在成長率を若干上回る年率1%程度の成長が続くことが予想される。
     
  4. 消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は、2024年度が2.6%、2025年度が2.1%、2026年度が1.7%と予想する。物価高対策の縮小によって2025年度初め頃にかけて上昇率が高まるが、その影響が一巡した後は、賃上げに伴うサービス価格の上昇ペース加速を円高による財価格の上昇率鈍化が打ち消す形で、2025年度後半には日銀の物価目標である2%を割り込むだろう。

 
■目次

1.2024年7-9月期の実質GDPは前期比年率1.2%へ上方修正
  ・2025年の春闘賃上げ率は2年連続の5%台を予想
2.実質成長率は2024年度0.4%、2025年度1.1%、2026年度1.2%を予想
  ・物価の見通し

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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