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2022.7プレスリリースの内容
2022年のインド保険規制開発局(Insurance Regulatory and Development Authority Of India:IRDAI)のプレスリリース
1によれば、インドにおける保険の普及策について、2047年達成を目指して、以下のような取り組みを行なっていくとされている。
・2047年までに、「すべての人に保険」を実現し、すべての国民が適切な生活を送り、健康と財物の保険カバーができるようにする、そして、全ての会社が、それぞれ適切な事業保険に加入して、インドの保険セクターを、世界的に魅力あるものにすることを目指す。
・これらを達成するために、保険契約者にとって手頃な価格で、アクセスしやすく幅広い選択肢を与えるような保険商品を提供すべく、健全な競争を可能とする環境を培うために、進歩的、支援的、促進的な、将来を見据えた規制を構築する努力がなされなければならない。
この改革計画は、インド政府が保険に限らず、金融インクルージョン(貧富の差などに関わらず、誰もが必要な金融取引にアクセスできるようにすること)に向けた改革を強く推進することから保険についても発想されている取組内容である。
IRDAIが目指すのは、保険事業の環境に大きく影響する3つの柱、すなわち保険契約者・保険会社・保険代理店を、以下のように様々な観点から「強化」していくことである。
・適切な保険商品を、必要とする顧客に提供すること
・しっかりとした苦情救済の仕組みを構築すること
・保険セクターに容易にビジネス参入できるようにすること
・規制の構築は市場の動向に適合していること
・テクノロジーの主流化とプリンシプルベースの規制へ移行しながら、イノベーション、競争力、流通効率を高めること。
こうした目的に向けて、様々な規制を改正することにつき、利害関係者の意見を求めていく。この後、保険会社、保険代理店(個人も法人も含む)、保険専門家との間で議論を行なっていくこととする。その過程においても、慎重な評価コメントや新たな提案が行われることが予想される。
規制の改正内容は保険諮問委員会(Insurance Advisory Committee 1999年IRDA法に基づく諮問会議)でも検討された。
2022.11.25当局会議において、より具体的に提案された重要な項目は以下のようなものである。
1.インド保険会社の登録
プロセスを簡素化し、ビジネスを容易にする目的で、保険会社の子会社も保険代理店となれるように、また単一の投資家の割合を引き上げるなど規制を緩和すること
2.保険代理店の提携限度額の引き上げ
ひとつの保険代理店が提携できる保険会社の数を増やすなどの条件拡大
3.保険規制におけるサンドボックスの提供
革新的な商品等を開発する目的で、保険会社や保険代理店に対する規制や認可などに関して、一時的・試験的な緩和などテスト環境(いわゆるサンドボックス)を提供し、課題を見出し修正するという試みを継続すること
4.その他の形態の資本
劣後債の発行による資金調達を可能にするための手続きの簡素化など
5.アポインテッドアクチュアリーの設定
保険会社の支払能力を維持するために重要な役割を果たすアポインテッドアクチュアリーの資格要件の柔軟化
6.損害保険会社の支払能力基準の改定
資本を効率的に活用できるよう、ソルベンシー規制における、作物保険などいくつかの保険種目のリスク係数を引き下げること
7.生命保険会社の支払能力基準の改定
上記同様、生命保険会社についてもユニットリンク保険やPMJJBY
2についてリスク係数を引き下げること
8.保険会社の上場とその承認
9.現在ほとんど行われていない保険会社の合併承認
10.具体的な新規保険会社の登録
これらの規制案に寄せられた様々な意見について審議が継続され、また保険会社、保険代理店などとの対話も行われ、2022年11月23日、さらにパブリックコメントにかけられた。