年代別に見ると、年齢が高いほど「家計の負担軽減が期待できるから」や「働く親にとって負担が減るから」、「所得制限がなくなり、すべての家庭が支援を受けられるから」の選択割合が高まる傾向があり、特に50歳代では「家計の負担軽減が期待できるから」(61.8%、全体より+15.3%pt)と「包括的な支援が社会全体の意識改革につながるから」(20.6%、同+6.3%pt)の高さが目立つ。このほか50歳代では「育児休業がとりやすくなり、育児に専念できるから」(17.6%、同+6.8%pt)と「働きやすい環境が整うことで、女性も働きやすくなるから」(17.6%、同+5.3%pt)も高い。なお、後者は20歳代(17.9%、同+5.6%pt)でも高い。
一方、若い年代ほど、「家庭と職場のサポートが増えることで、子育ての不安が解消されるから」や「子育てと仕事の両立がしやすくなるから」(20歳代でどちらも25.6%)が高い傾向がある。このほか20歳代では「長期的に子育てが支援される安心感があるから」(35.9%、全体より+5.4%pt)や「子育て支援の質が向上するから」(23.1%、同+11.4%pt)、「充実した支援が受けられるから」(15.4%、同+8.5%pt)、「長期的な政策の安定性が期待できるから」(12.8%、同+6.9%pt)、「配偶者も育児に参加しやすくなるから」(15.4%、同+5.7%pt)も高い。
つまり、年齢が高い方が少子化対策に対して経済面の負担軽減を評価する傾向が強いとともに、育休の取りやすさや女性の働きやすさを評価する傾向がある。この理由としては、50歳代などは教育費がかさむ時期であることに加えて、現在ほど仕事と家庭の両立環境が整っていない時期に育児をしてきた世代であることも影響しているのだろう。一方、若い世代の方が経済面というよりも環境面の支援等を評価する傾向が強く、子育ての不安解消や両立のしやすさ(配偶者もあわせて)、質の向上などを期待する様子が読み取れる。
子どもの人数別に見ると、全体的に3人以上で選択割合が高い項目が多いが、特に「家庭と職場のサポートが増えることで、子育ての不安が解消されるから」(21.2%、全体より+8.0%pt)と「配偶者も育児に参加しやすくなるから」(15.3%、同+5.6%pt)で高くなっている。
世帯年収別には、世帯年収が少ないほど「経済的に厳しい家庭でも子供を育てやすくなるから」や「家計の負担軽減が期待できるから」などの経済面に対する負担軽減策の選択割合が高い傾向がある。一方、世帯年収が多いほど「家庭と職場のサポートが増えることで、子育ての不安が解消されるから」や「包括的な支援が社会全体の意識改革につながるから」などが高い傾向がある。年代による違いで見られるほどではないが、世帯年収が少ない方が少子化対策に対して経済面の評価を、世帯年収が多い方が経済面というよりも環境面の支援による意識の変化を評価する傾向が強いようだ。
なお、「子育てと仕事の両立がしやすくなるから」(32.7%、全体より+10.6%pt)や「所得制限がなくなり、すべての家庭が支援を受けられるから」(29.7%、同+8.7%pt)、「職場での理解が進み、育児への取り組みが評価されるから」(16.8%、同+6.2%pt)など、世帯年収700~1,000万円未満を中心に選択割合が高まる項目も多い。この理由としては、当該層は、2人以上の未就学児を育てているなど子育てに比較的手のかかる層が多いために(当調査では、世帯年収700~1,000万円未満の層に占める長子が未就学児の割合は48.9%↔全体では51.0%、子どもの人数が2人以上は64.2%↔全体では58.0%)、特に両立環境のしやすさを評価する傾向が強いことが考えられる。
5――おわりに