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英国国防大臣の声明(2023.9.23)1
2023年9月23日の英国の国防大臣の声明においては、以下のような意見が表明されている。
「英国の防衛部門は、英国の中核的利益(英国国民の主権、安全保障、繁栄)を促進する上で不可欠な役割を担っている、と英国政府は明確に表明している。特に例えばウクライナにおいて、英国は、必要な支援や軍事援助を提供するのに主導的な役割を果たしている。
防衛産業は軍を支え、重要なインフラを保護している。平時であろうと有事であろうと、民間部門における防衛産業は、国家安全保障に不可欠である。
にもかかわらず、現在のところ防衛産業は、ESGを理由に、負債や自己資本へのアクセス(筆者注:借入や自己資本充実のための資金調達のことを指すものか)から除外されようとしているのが現状である。これは国防省支出だけで250万人以上の雇用を直接・間接に支えている経済の重要な部分の存続を脅かすことになる。こうしたことは、英国の防衛産業が我々の生活を守るために不可欠であることを認識していない誤りから生じるのではないか。
このようなダイベストメントは調達コストを上昇させ、納税者の資金を他の国防支出や公共サービスから遠ざける恐れがある。現在、世界的な不確実性が高まる中で、重要な戦略的資産としての防衛産業の価値は高まる一方である。
英国政府は、ESGの原則と防衛産業の間にはなんの矛盾もない、と主張する。核抑止力を含む強力な国防があってこそ、われわれが「あって当然」のように思い込みがちな自由を確保することができるし、投資家や金融サービス会社がESGを考慮しようとする大前提が防衛産業の充実である。
2023年に発表されたグリーンファイナンス戦略にもあるように、英国政府は国益、経済、あるいはより広範な環境社会目標を守るためには、英国の防衛産業とNATO同盟国への継続的な民間投資が不可欠と考えている。
さらに英国の防衛セクターは、様々な方法でESGの考慮事項を反映している。新技術の推進やESG指標の報酬体系への組み込みなどである。
投資家は、投資において自由な選択を行うべきだが、それは上記のような考え方や事実に基づいたものであってほしい。
英国の省庁においても、防衛省は調達プロセスにおいて、環境及び社会問題に関してリーダーシップを発揮しているし、財務省もまたESG格付けにおける善良な行為を促進するため、ESG格付けに関する規制枠組みに関する協議を行なっている。
政府は、ESGの価値観が平和と安全を維持する能力を損なうものであってはならないと考え、逆にこうした能力がなければ、ESGの価値観を維持することが難しくなると考える。」(要約おわり)