(3) 地域別展開に関する方針及びトピック
AXAは、2023年に入ってからこれまでに、以下の地域別事業展開の見直し等を公表してきている。
2023年2月28日に、AXA SA が Banca Monte dei Paschi di Siena SpAの1億株の株式の2億3,300万ユーロでの売却を成功裏に完了したと発表した。
2023年7月13日に、総額3億10百万ユーロの現金でのGroupe Assurances du Crédit Mutuel España(「GACM España」)の買収を完了したと発表した。GACM Españaは、代理店やパートナーの幅広い流通ネットワークを通じて商品を販売しており、2022年のリテール損保と医療部門の総収入保険料が4億ユーロであった。2022年末において、連結ソルベンシーII比率は272%、適格自己資本は3億ユーロだった。
2023年8月3日に、AIGの子会社であるCorebridge Financial Inc.からLaya Healthcare Limited(「Laya」)を6億50百万ユーロの対価で買収する契約を締結したと発表した。Layaは、アイルランドの医療保険市場で主導的な地位を占めており、28%の市場シェアを誇り、70万人近くの保険契約者にサービスを提供し、年間保険料 約8億ユーロとなっている。AXA はアイルランドに既に拠点を置き、損害保険市場でナンバー1の地位を築いているが、この取引により、活況で急速に成長する医療保険市場での事業をさらに拡大することになる。この取引により、AXAグループのソルベンシーII比率は▲3 ポイントの影響があると想定されている。なお、この取引は、2023年11月1日に完了したと発表された。
2|Allianz
Allianzは、世界の70カ国以上で生命保険、損害保険事業、資産管理事業等を展開している。
Allianzは、以前に生命保険事業の主要な市場として、ドイツ、フランス、イタリア及び米国を挙げていたが、これらの市場における保険収益や営業利益の構成比が大きなものとなっている。
(1) 地域別の業績-2023年の結果-
Allianzは、売上高を「保険料等(Total Business volume)
12」、事業損益を「営業利益(Operating profit)」で説明しているので、以下の図表にはこれらの数値を掲載している。なお、CSM残高については、税引き前等のグロスベースで、グループ全体では、2023年末は53,818百万ユーロ(生命・医療保険52,601百万ユーロ、損害保険1,239百万ユーロ)、2022年末53,382百万ユーロ(生命・医療保険52,227百万ユーロ、損害保険1,172百万ユーロ)
13となっている。
これによれば、営業利益(生保)は、自国のドイツの構成比が25%(2022年は32%)で、フランス、スペイン、イタリア等の主要国からも有意な収益を上げており、欧州全体で66%(2022年は69%)の構成比となっている。一方で、営業利益(損保)は、ドイツの構成比が17%(2022年は24%)、欧州全体で64%(2022年は64%)となっている。
米国の子会社であるAllianz Life Ins Groupは、2023年末の認容資産ベースで、米国の生命保険・医療保険グループで第18位(2022年末は第19位)
14となっている。そのグループ全体の生命保険事業における構成比は、保険料等で24%、保険収益で10%、営業利益で21%、新契約価値で28%、CSM残高で22%となっており、ほぼ2割程度の構成比となっている。
アジア・太平洋の生命保険事業の構成比は、保険料等で8%、保険収益で10%、営業利益で11%、新契約価値で14%、CSM残高で9%となっており、ほぼ1割程度の構成比となっている。