中国経済:景気指標の総点検(2023年春季号)-1-3月期の成長率は4%を超える可能性

2023年03月24日

(三尾 幸吉郎)

■要旨
 
  1. 昨年の中国経済は実質で前年比3.0%増と、前年の同8.4%増から大きく減速、政府目標「5.5%前後」は未達となった。第1四半期(1-3月期)は前年同期比4.8%増と堅調、第2四半期はコロナ感染が急増し同0.4%増と失速、第3四半期は同3.9%増と持ち直し、第4四半期は再び同2.9%へと失速した。消費者物価は政府目標「3.0%前後」を下回る水準で安定していた。
     
  2. ここもとの景気評価点を見ると(下表)、1月は6点、2月は7点と、景気良悪の分岐点となる5点を2ヵ月連続で上回った。昨年後半はそれを下回っていたが半年ぶりに景気は改善に向かっている。なお、1月、2月の道路貨物輸送量は未発表なのでそれを反映しない暫定値。
     
  3. 景気インデックス(鉱工業生産、サービス業生産、建築業PMIを合成加工して毎月の実質成長率を推計したもの)は、1月が前年同月比3.8%増、2月が同4.5%増で、1-2月累計は同4.15%増である。そして、昨年3月は上海市で新型コロナ感染が広がり始めた時期で基準値が低い。その前年同月と比べる今年3月の景気指標は高い伸びとなりやすい。
     
  4. したがって4月18日に公表予定の1-3月期の成長率は4%を超える可能性がある。現在、市場コンセンサスは3.2%前後となっているだけに、ポジティブ・サプライズに備えたい。

 
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