ユーロ圏失業率(2022年3月)-6%台での推移が続く

2022年05月06日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:3か月連続で失業率は6%台で

5月3日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国失業率(2022年3月、季節調整値)】
失業率は6.8%、市場予想1(6.8%)と同じで、前月(6.9%)から減少した(図表1)
失業者は1127.4万人となり、前月(1135.0万人)から7.6万人減少した

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:引き続き多くの国で失業率が改善する状況

ユーロ圏の22年3月の失業率は6.8%となり、前月の6.9%から低下した。2月の失業率が6.8%から改定値で6.9%に悪化したことから、今月もデータ公表以来の最低値を更新したことになる。なお、2月以前の改定値はほとんど変更がなかった。

失業者数は3月の前月差で7.6万人減(2月改定値:▲9.1万人)となり、4月以降の減少数(21年5-22年2月累計)は211.0万人となった(図表3・4)。21年11月にコロナ禍前(20年3月)の水準まで減少したのち、5か月連続で失業者数は減少している。

若年失業率は、3月は13.9%となり2月(改定値は14.0%、前月公表値も14.0%で変更なし)からやや改善した(図表2)。また、若年失業率の改定値は前月公表値からほとんど変化がなかった。若年失業者数は3月で209.8万人(前月差▲1.7万人)だった。
国別の3月のデータを見ると、失業率では19か国中、悪化した国が4か国、改善が11か国、横ばいが4か国だった(図表5)。若年失業率では19か国中、悪化した国が2か国、改善した国が11か国、横ばいが6か国だった(図表6)。3月の失業率・若年失業率は、改善幅こそ小さかったが、多くの国の失業率が改善に向かった。
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者・非労働力人口が減少し、就業者数が増加したため労働参加率が上昇した(図表7)。労働参加率の水準はコロナ禍前程度まで回復している。一方、ポルトガルでは失業者も非労働力人口も増加、就業者数は減少している(図表8)。ポルトガルの雇用環境は良好な状況ではあるが、単月の結果としては冴えないものとなった。
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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