税方式は少子高齢化の影響を免れない

2022年02月03日

昨年9月の自民党総裁選挙で見たように、年金改革が議論されると必ず主張されるのが、基礎年金財源の消費税方式化である。社会保険料を止めて、消費税を財源にすれば人口の少子高齢化に対応できるという主張である。

しかし、税方式でも少子高齢化が進めば年金財政は悪化する。例えば、人口が1億人で一定とし、うち受給者が3千万人のケースと6千万人のケースを比較すると、後者の年金支給額合計は前者の2倍であり、必要な税収や消費税率は2倍になる。

税方式のもう1つの長所として、社会保険料が支払えない低所得者にも全額が支給される点が主張される。しかし、そうであればこそ、高齢化で税負担が上昇すれば、他に所得のある人には年金を支給する必要はない、という議論が出てくる。そうなれば、生活保護とは紙一重であり、両者の統合論も出てくるだろう。

財源が保険料であれ、消費税であれ、年金が現役世代から高齢者への所得移転であることは変わりない。少子高齢化が進めば必ず財源が不足し、現役の負担増か、年金減額か、という議論になる。この問題を解決するためには、税・保険料の負担増に耐えられるよう、現役世代全体の所得を増やすしかないのである。
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