2|パブコメでは、OTC化に反対の意見14個、賛成の意見84個が寄せられた
パブコメでは、胃酸分泌抑制薬につき、OTC化に反対の意見14個、賛成の意見84個が寄せられた。
以下のような薬局等からの反対意見があった。
「受診が必要と判断される方もあるが、受診勧奨しても販売を拒否できないため販売せざるを得ない。そういった使用者側の現状では適切な使用は難しい。」
「安全に使用できるとは思わない。日数制限を説明しても、他店で追加で買われたら分からない。」
「PPI
9は効果がないので必要ない。」
「胃食道逆流症治療のPPIのやめ時は患者には判断できない。」
「濫用の原因になると考える。」
「H2ブロッカー
10が既に販売されていて、それ以上の効果が必要であれば受診で良い。受診・内視鏡検査などをせずにいると、食道癌進行などがあり得るため、OTCでPPI販売すべきでない。」
一方、賛成意見には、つぎのものがあった。
「PPIでの短期使用による重篤な副作用が発現しないと思われるので、薬剤師の対面販売を更に徹底するということで問題がない。」
「PPIについては、胃酸分泌の抑制作用が高く、一過性の胃痛等の症状にもH2ブロッカー以上に効果的な薬剤で、既に市販されているH2ブロッカーと比べても明確なリスクは存在せずに、薬剤師の対面販売によれば市販化に当たり問題はない。」
「OTC化で癌による死亡率が増加したエビデンスはない。」
「PPIのスイッチOTC化は医療費の削減の観点、セルフメディケーションの選択肢拡大の観点から有益である。」
「需要が多いと思うので短期間の使用であればスイッチOTC化しても問題がない。」
「逆流性食道炎の患者が多くいるため、PPIを市販化することでセルフメディケーションにつながる。」
「PPIはアメリカ等の海外では市販薬として販売されている。投与初期には副作用等の観点から医師の継続的な診察を要するとは思うが、一定期間の服用かつ難治性の逆流性食道炎など検査を要しない場合、安全に投与されているように感じる。患者自身も特に検査せず、問診のみのために病院を受診しなくて済む仕組み作りを望む。」
また、対応策に関する意見も寄せられた。
「要指導医薬品として販売して、販売に当たる薬剤師には研修を義務付け、研修を受講した薬剤師のみが販売できるようにすることで指導方法が統一され、安全性が担保できると考える。」
「要指導医薬品が一般用医薬品に原則3年で移行するものとされているが、移行させない要指導医薬品があっても良いのではないか。」
「多くても1箱5錠までの、少量包装のことかと思うが、パッケージで販売して、最初のパッケージを飲み切っても改善しない場合は受診を促すことを義務化すれば良い。短期間の間に2箱目以降は購入できない仕組み作りも必要。」
「長期服用による重篤な副作用の発現リスクが高まることや、癌の症状をマスクすることについても外箱、添付文書等の記載による注意喚起で対応は可能ではないか。」
「購入者にお薬手帳のようなものの持参を義務付ける等の方法で、長期連用や併用に関するモニタリングを強化することなども関与や不適切使用を回避するために有用である。」
「長期にわたり購入を防ぐための対策として、登録制にして購入状況を管理できるIDを付けてはどうか。」
「医師向けにOTCの医薬品服用許可カードのようなものを配布して、許可を受けた患者だけが確認の上、買えるというような仕組みにすれば、より再販防止につながるのではないか。」
「包装にお薬手帳に貼ることができる服用シールのようなものを添付して、手帳への貼付を促すことで、医師も服用状況を把握でき、より安全性を担保できると考える。」
「販売時の条件として、例えばあらかじめ健康診断等で癌ではないと証明できる書類を発行してもらい、それを確認できないと販売できないようにすること。有効期間、検査内容などを記載した処方箋の概念に近い診断書様式を作成して、医師に記載してもらったものを確認しないと販売できないようにすることが挙げられる。」
9 プロトンポンプ阻害薬。胃内で胃酸分泌を抑え、胃潰瘍などを治療し逆流性食道炎に伴う痛みや胸やけなどを和らげる薬。
10 胃内には、胃酸分泌の促進に関わるH2受容体がある。H2ブロッカーは、この受容体に拮抗的に作用し、胃酸分泌を抑える作用をあらわす。通常、H2ブロッカーよりも、PPIの方が胃酸分泌抑制作用は強いとされる。
5――検討会議の運営方針の転換