3月24日、医療保障を提供するP2P互助事業の「軽松互助」が閉鎖を発表した。次いで、26日には同じ形態をとる「水滴互助」も閉鎖を発表している。1月のフードデリバリー美団による「美団互助」の閉鎖もさることながら、多くの会員を抱えるP2P互助事業の閉鎖が相次いでいる。
プラットフォーマーによる金融事業への参入を牽制する方針に伴い、金融監督当局は、保険運営のための免許取得の取り扱いについても一段と強化している。これまでP2P互助事業は保険事業と位置付けられず、それに替わる免許取得のための規定や監督・管理規制も設けられていなかった。
いずれの企業も今般の閉鎖は、事業の成長を見越した‘発展的’な閉鎖であるとはしているものの、一連の牽制への対応も含まれている点は否定できないであろう。
軽松互助の閉鎖は、その当日に伝えられた(以下は要約)。
「軽松互助は2016年4月以降、5年にわたり安定した運営をしてきました。この5年間で合計8,934名に給付を行い、病気で最もつらい時期を共に過ごしてきました。皆様に感謝申し上げます。本日、2021年3月24日、18時をもって閉鎖します。」
3月31日までは給付の受付が継続されるが、ネット上では「閉鎖と言ってしまえばそれまでなのか」といった声も上がっている。P2P互助は加入ハードルが低く、負担も少額である反面、保険商品とは異なり、消費者保護を目的とした救済措置が設けられているわけではない。
一方、水滴互助の閉鎖は、閉鎖まで5日の猶予をもって発表された(以下は要約)。
「水滴互助は、この5年間で、数千万人の会員と連携し、給付金を全員で負担し、合計21,235の家庭とともに困難を乗り越えてきました。一人ひとりの善意が水滴互助を支えていました。水滴互助は2021年3月31日18時に閉鎖します。」
水滴互助も軽松互助と同様に、3月31日までは給付の受付が継続される。ただし、軽松互助と異なるのは、会員が同意をすれば、水滴が取り扱う医療保険(保険期間1年、最高給付額50万元)に加入ができる点だ。最初の1年の保険料は水滴側が負担する。水滴互助の会員数は最大手の相互宝に次いで多く、およそ8,000万人とされている。会員規模から社会的な影響が大きい点が考慮されたのであろうが、水滴側としては一時的な補償は発生するものの、水滴互助の会員をそのまま引き継ぐこともできる。
2――P2P互助事業を取り巻く環境の変化