ワクチンガード保険は、ワクチン接種
9後の副反応に加えて、偶然事象(ワクチン接種時に別の疾病の潜伏期間や発症前の状態で、接種後に発症するケース)の場合にも給付される。PICCが指定した医療機関で診断後、180日以内に死亡した場合は死亡保険金、生命保険障害評定基準に基づいた障害に認定された場合は障害レベルに応じた給付率を乗じた上で保険金が支払われる。死亡保険金は10歳未満が20万元、10歳以上は50万元となる。
なお、給付対象となる副反応(有害事象反応)は中国ワクチン管理法など
10で定められた身体の組織や器官、機能の損失を指し、一般反応に分類される発熱、注射部位の腫れ、倦怠感、食欲不振などの症状は含まれない。
また、ワクチンを接種したものの免疫効果が発揮されず、PICCが指定した医療機関で新型コロナウイルスによる肺炎に罹患したことが診断された場合で、診断後180日以内に死亡した場合、障害に認定された場合についても上掲と同様の給付がなされる。
医療保険金の給付もあり、国が認可した2級または2級以上の公立病院で、公的医療保険が適用されない自己負担額は6割、適用される自己負担額については全額給付されるなど、実損填補もなされる。
入院については60日を限度に1日100元、症状が重度でICUでの治療がなされる場合は同じく60日を限度に1日500元が給付されることになっている。
PICCのワクチンガード保険は、給付内容が手厚いものの、加入対象年齢が65歳までとなっており、リスクが向上する高齢者層はその対象から外されている。
一方、SNSのWeChatやネット決済のWeChatPayに強みを持つテンセント・グループ傘下の微保(WeSure)は、ユーザー向けに「新型コロナワクチン接種お守り保険」(護身福・新冠疫苗接種意外保険)を無料で提供している
11。対象年齢は100歳までとし、医療機関で指定したワクチンを接種した後の副反応、副反応診断後180日以内に障害がみとめられた場合には最高2万元が給付される。政府が指定した予防接種機関で、契約したワクチンの中から接種し、ワクチンの免疫機能が発揮されずに6ヶ月以内に新型コロナウイルスに感染した場合は5000元の補助が支給される。微保は、このような無料保険について、保険当局の許可を取得しているとした。
中国では、新型コロナウイルスのワクチン接種については無償化をしているが、接種後の副反応による死亡や高度後遺障害となった場合の補償は設けられていない。よって、今後の接種拡大を見越して、保険会社による新型コロナウイルスのワクチン接種に特化した保険商品が出現してきている。特に、通常の医療保険商品などに加入が難しい所得層などを考慮した低額の保険商品や、無料での保障提供など民間によるサポートの広がりが見られている。
9 接種機関は、政府の衛生当局が指定し、中国ワクチン管理法で定められた条件を満たしている機関
10 中国ワクチン管理法に加えて、国家衛生健康委員会による「予防接種の有害事象反応の補償範囲参考目録及び説明(2020年版)に関する通知」(2020年12月14日)において、ワクチンの種類や副反応の内容、期間等について定めている。
11 中堅保険会社である中国大地保険が引き受けを実施。