外債投資のトレンド~誰が何を買ってきたのか?

2021年03月05日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

3.金融市場(2月)の振り返りと予測表

(10年国債利回り)
2月の動き 月初0.0%台後半でスタートし、月末は0.1%台後半に。
月初、日銀による金利変動許容幅拡大観測により、0.0%台後半へと水準を切り上げてスタート。さらに、中旬にはワクチン接種進展と巨額の追加経済対策成立期待から米国の景気回復や物価上昇への思惑が高まり、米金利上昇が金利上昇圧力に。17日には2年3カ月ぶりに0.10%を付けた。

パウエル議長の容認発言もあって下旬も米金利の上昇は止まらなかったほか、国内では日銀が金利抑制姿勢を見せなかったこともあって金利上昇基調が継続し、月末にはマイナス金利政策導入後の最高水準となる0.1%台後半に到達した。
(ドル円レート)
2月の動き 月初104円台後半でスタートし、月末は106円台前半に。
月初、巨額の追加経済対策の早期成立期待が高まり、米国の経済回復と物価上昇期待の高まりによる米金利上昇、日米金利差拡大を受けてドル高が進行。5日には105円台半ばを付ける。その後は一旦104円台へと調整したが、再び米金利が上昇に向かったことで17日にはおよそ4カ月ぶりに106円台を回復した。その後は再び調整局面に入ったものの、月終盤には米金利が大きく上昇したことで再びドル買いが優勢となり、月末は106円台前半で終了した。
(ユーロドルレート)
2月の動き 月初1.20ドル台後半でスタートし、月末は1.21ドル台前半に。
月初、米金利が上昇する一方でユーロ圏でのワクチン普及の遅れが嫌気される形でユーロが弱含み、5日に1.19ドル台後半へと下落。その後はイタリアでのドラギ政権発足に向けた動きが好感されてユーロが買い戻され、11日には1.21ドル台半ばへ回復。その後は米金利の一段の上昇がユーロの重荷となったものの、リスク選好に伴うドル売りユーロ買いが相殺する形となって1.21ドル前後での一進一退が継続。月末も1.21ドル台前半で終了した。
 
 

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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