株式市場の空洞化回避には長期保有する個人投資家の裾野拡大が急務

2020年08月17日

(森下 千鶴) 株式

■要旨
 
  • 2019年度株式分布状況調査によると、個人などの保有比率が過去最低となった一方、「信託銀行」の保有比率が過去最高を更新した。
     
  • 信託銀行の保有比率が増えた大部分は日銀のETF(指数連動型上場投資信託)買入れであり、日本の株式市場が日銀に頼っている姿が見える。
     
  • 株式市場の空洞化を回避するには株式を長期保有する個人投資家の裾野拡大が急務であり、制度や教育面の支援が引き続き重要である。
     
  • 一方で、日本企業側も長期投資家から選ばれるために、中長期的な企業価値向上への一層の取り組みが求められる。

■目次

■信託銀行の株式保有比率は大きく上昇
■日銀によるETF買入れが信託銀行の株式保有比率上昇に寄与
■日銀以外に日本の株式を長期保有する投資家が必要
■個人の長期資産形成のための選択肢
■税制・教育面でのサポートが重要
■企業価値向上への姿勢が試される

金融研究部   研究員

森下 千鶴(もりした ちづる)

研究領域:医療・介護・ヘルスケア

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴

【職歴】
 2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
 2015年 ニッセイ基礎研究所入社
 2020年4月より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会検定会員
 ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

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