4―保険・共済3で提供されている商品・仕組み
というわけで、自転車利用者は、一言でいえば何らかの自転車保険に加入していなければならないわけだが、それに対して、どのようなものが提供されているかみてみる
4。金額や加入先など具体的なことには東京都の条例では言及されていない
5ので、まずは自転車利用者が各自どこか選んで加入すればよいのだが、各自の置かれた状況によって内容を検討する必要があるだろう。あるいは、必ずしもあらたに加入する必要はなく、これまでに加入済みの保険に既にセットされていればそれでよい。
どこで加入するか。それにはインターネット、コンビニ、自転車販売店、保険会社、共済組合などがある。
どこに加入すればいいかという点については、損害保険会社、生命保険会社、各種の共済がある。コンビニごとに取り扱う保険会社などがそれぞれ違うものに決まっているかもしれない。あるいは、自転車販売店などで加入した場合も、提携した損害保険会社などの引き受けになっている場合が多い。
どんな保険商品・共済に入ればよいかというと、「自転車保険」という名前のものに単純に限る必要はない。むしろそういった純粋なタイプは少なく、むしろ「個人賠償責任保険」という形で、自転車保障以外の保障もセットになったタイプが主流にみえる。名称だけにとらわれることなく、内容を見て検討するのがよいと思われる。
損害保険協会ホ-ムページ
6によれば、個人賠償責任保険で補償される事故の例として、以下が挙げられており、自転車で歩行者にぶつかった場合が代表的な例として含まれている。
・買い物中に陳列商品を落として破損させた
・飼い犬が他人を噛んでケガをさせた
・子供が駐車場に停めてあった他人の車をキズけた
・自転車で走行中に歩行者とぶつかり後遺障害を負わせた
・マンションの自宅の風呂場からの水漏れにより、階下の戸室の家財に損害を与えてしまった
・ガス爆発によって、隣の建物を損傷させた
・ベランダの鉢植えが落下して歩行者の頭に当たり死亡させた
また、その場合支払い対象となる損害や費用として
・被害者に対する損害賠償金(治療費、修理費、慰謝料など)
・弁護士費用、訴訟になった場合にそれに要する費用、調停・和解・仲裁の場合にそれに要する費用
という例が挙げられている。
示談交渉サ-ビスやロードサービスがセットされていたりすることがあるのは、自動車保険の場合と似ている。
保険料(共済掛金)負担の金額は、保障範囲により区々なのはもちろんだが、ざっとみたところ月1,000円前後からあり、それほど高いものではないように見える(が高いと見るかどうかはひとそれぞれである)。
個人賠償責任「特約」という形では、今までに加入済みの自動車保険に付帯できる
7こともあるし、火災保険に付加できるものもある。さらには契約者本人だけではなく家族についても保障の対象になっているタイプのものもある。
自転車保険は損害保険的なイメージで捉えられるものだが、生命保険会社でも自転車事故に備える保険が提供されている。これは会社ごとに損害保険会社と提携して、生命保険ならではの、自分自身のケガや万一の死亡保障がセットになったものと言えるようだ。
各種共済の場合も全く同様であるが、そもそも共済は一般的に言って、保障金額(の上限)が少額のものが多いので、先に述べたような1億円近い高額賠償に対応できないものも見受けられることには注意が必要である。その場合でも、同じ共済の取り扱いの中で、別途損害保険会社などと提携した保障が用意されていることもあり、追加することが可能かもしれない。
3 保険と共済は厳密には実施している会社・団体が異なるので、単に自転車「保険」というと共済関係者・加入者は(あるいは知っている人ほど)気になるところもあろう。この稿では、なるべく保険・共済と並べているつもりだが、そうでなくても、一般的な話の中にはいつも共済を含んでいることに留意頂きたい。
4 本当は、各社の具体的な「商品」を挙げて説明するのがいいのだが、全部みているわけではないので、概略にとどめさせて頂く。
5 全部確認したわけではないが、どの自治体の条例でもそうではないかと思われる。
6 損害保険Q&A https://soudanguide.sonpo.or.jp/body/q092.html
7 あるいは、あまりあってはならないが、「知らないうちに含まれている」かもしれないので、確認してみるとよいかもしれない。