病院の会計規則-医業の会計には、施設と開設主体の2つの基準がある

2020年02月21日

(篠原 拓也) 保険計理

■要旨

病院や診療所の事業運営においては、資産と負債のバランスを評価したり、事業の収益性を確認したりすることが欠かせない。そこで求められるのが、正確な会計情報である。医療施設の開設主体でも、一般企業と同様に、会計の処理・作業が行なわれる。ただし、その内容には、企業会計と異なる部分が数多くみられる。

本稿では、病院や診療所の会計について、主なものをみていくこととしたい。

■目次

1――はじめに
2――病院の会計規則
  1|会計の種類には財務会計、税務会計、管理会計がある
  2|法人の基準である法人会計基準と、病院などの施設単位のルールである病院会計準則がある
  3|医療法人会計基準が導入されたのは2017年で、まだ日が浅い
  4|医療法人会計基準が強制適用されるのは一定の医療法人に限られる
  5|病院会計準則適用ガイドラインで、統一的、現実的な対応が示されている
3――病院の会計規則の特徴
  1|病院会計準則と医療法人会計基準では、対象とする書類が異なっている
  2|医療法人の類型に応じて純資産の構成内容が異なる
  3|保険診療報酬は法人事業税が非課税となるため、税効果会計の実効税率が他の収入と異なる
  4|一定の基準を満たす医療法人は、会計上、簡便な取扱いが可能
  5|医療法人は、棚卸資産の評価に最終仕入原価法を用いることができる
  6|医療法人には、固定資産の減損会計は一般企業と同じ形では適用されない
  7|病院会計準則では、子会社株式及び関連会社株式の規定はない
4――おわりに (私見)
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