まちづくりレポート|大阪の農空間づくり-大阪府農空間保全地域制度による、協働型コモンズの形成

2019年07月18日

(塩澤 誠一郎) 土地・住宅

■要旨

2015年に成立した都市農業振興基本法(以下、基本法)では、第3条基本理念で、「都市農業が、農産物の供給の機能以外の多様な機能を果たしていることに鑑み、都市農地の活用保全が図られなければならない(第1項)」、「都市農業の振興施策は、都市住民をはじめとする幅広い国民の理解の基に推進しなければならない(第3項)」としている。

大阪府は、約10年前の2008年に「大阪府都市農業の推進及び農空間の保全と活用に関する条例」(以下、条例)を施行し、基本法を先取りする取り組みを行ってきた。本稿では、今後多くの都市において参考になるであろう、条例に基づく農空間保全地域制度を紹介する。

■目次

1――大阪独自の都市農業施策
  1|大阪府都市農業条例制定
  2|農空間保全地域制度の効果
2――農空間保全地域制度
  1|農空間保全地域の指定から地域への働きかけ
  2|農空間づくり協議会による農空間づくりプランの策定と実施
  3|農空間づくりプランの意義
3――農空間づくりプランの事例
  1|かうち地区農と自然を守る協議会
  2|太平寺地区農空間保全活性協議会
4――農空間づくりを通じた協働型コモンズの形成


※本稿は2018年10月18日発行「基礎研レポート」を加筆・修正したものである。

社会研究部   都市政策調査室長・ジェロントロジー推進室兼任

塩澤 誠一郎(しおざわ せいいちろう)

研究領域:不動産

研究・専門分野
都市・地域計画、土地・住宅政策、文化施設開発

経歴

【職歴】
 1994年 (株)住宅・都市問題研究所入社
 2004年 ニッセイ基礎研究所
 2020年より現職
 ・技術士(建設部門、都市及び地方計画)

【加入団体等】
 ・我孫子市都市計画審議会委員
 ・日本建築学会
 ・日本都市計画学会

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