5) 外国人労働者の雇用管理
1.外国人労働者の雇用変動等の申告
使用者は、外国人労働者の勤務中の離脱、負傷、死亡、勤労契約の更新等、外国人労働者の雇用と関連した変動事項が発生した場合は、その理由を把握した日から15日以内に雇用センターと法務部の出入国管理事務所に申告をする義務がある。違反した場合には100万ウォン未満の罰金を負担しなければならない。
※雇用変動事由(外国人労働者の雇用などに関する法律第17条及び施行令第23条)
― 外国人労働者との勤労契約を解約した場合
― 外国人労働者が死亡した場合
― 外国人労働者が負傷などにより当該事業で勤務を続けるのができない場合
― 外国人労働者が使用者の承認を得るなど正当な手続きをせずに5日以上欠勤した場合と外国人労働者の所在が把握できない場合
― 外国人労働者が伝染病予防法第2条第1項第1号から第4号の規定による伝染病(コレラ、型肝炎、結核、AIDSなど)の患者になった場合と麻薬中毒などで公衆衛生上の問題を及ぼす懸念がある場合
― 外国人労働者の雇用許可期間が満了した場合
― 外国人労働者が滞在期間満了などで出国(一時的な出国を除く)した場合
― 使用者又は勤務先の名称が変更された場合
― 使用者の変更手続きをせずに勤務場所を変更した場合など
2.外国人労働者の事業場変更
外国人労働者は最初に働き始めた一つの事業所で勤務を続けるのが原則である。 但し、事業場の休業や廃業、そして賃金未払いなどにより、正常的な労働関係の持続が困難であると認められる場合に限って、外国人労働者の基本的な人権保障のために例外的に事業場の移動を最大4回まで許容している。
※事業場の移動(変更)の事由
― 使用者が正当な理由で勤労契約を解約したり、勤労契約の更新を拒絶した場合
― 休⋅廃業など外国人労働者の責任ではない理由で、その事業場で勤労を続けられなくなった場合
― 暴行など人権侵害、賃金未払いや勤労条件の低下などで外国人雇用許可の取消または雇用制限措置が行われた場合
― 傷害などにより該当事業場で働きつづけることは難しく、他の事業場で働くことが可能な場合
― 外国人労働者の事業又は事業場の変更を妨害した者は1年以下の懲役や禁錮または1千万ウォン以下の罰金が賦課される
3.外国人労働者の雇用許可の取り消し及び制限
使用者が入国前に労働者と契約した賃金その他の労働条件を違反する場合には雇用許可が取り消される場合がある。また、雇用許可書が発給されていない外国人労働者を雇用した場合には3年間、外国人労働者の雇用が制限される。
※外国人雇用許可が取り消されるケース
- 使用者が入国前に契約した賃金とその他の労働条件を違反した場合
- 使用者の賃金未払いやその他の労働関係法の違反などで労働契約の維持が困難であると認められる場合
- 偽りやその他の不正な方法で雇用許可を受けた場合
※外国人労働者に対する雇用が制限されるケース
- 雇用許可書を発給されずに外国人労働者を雇用した者
- 外国人労働者の雇用許可が取り消された者
- 帰国の際に必要な金品の清算をしなかったり、外国人労働者の事業場変更を妨害するなど、外国人雇用法を違反したり、出入国管理法を違反した者
- 雇用許可書が発行された日から6ヶ月以内に内国人労働者を雇用調整により転職させた者
- 外国人労働者に対して勤労契約に明示された事業、または事業場以外で労働を提供するようにした者
4.不法滞在者の雇用禁止
使用者が不法滞在者を雇用した場合、健康保険の未適用による人権侵害問題、安全事故の問題、不法滞在者の取締りの過程で発生し得る事故など様々な問題が発生する恐れがあるので、不法滞在者の雇用を禁止している。使用者が不法滞在者を雇用して摘発された場合、使用者は「出入国管理法」により罰金賦課及び刑事処罰(3年以下の懲役あるいは2千万円以下の罰金)の対象になると共に、合法的な外国人労働者の雇用が制限される。
5.外国人労働者の専用保険や公的社会保険
外国人労働者を使用する使用者は外国人労働者のために出国満期保険や保障保険に加入する必要がある(図表14)。また、外国人労働者は帰国費用保険や傷害保険に加入しなければならない。
4大公的社会保険に対しては、健康保険及び労災保険は義務加入が、雇用保険は任意加入が適用される(労働者が加入を希望する場合、雇用センターに「外国人雇用保険加入申請書」を提出)。また、国民年金は相互主義原則に基づいて図表15のように適用される。