インド経済の見通し~農家支援策により消費は持ち直しへ向うも、輸出の停滞色が強まり、緩慢な成長が続く(2019年度+7.2%、2020年度+7.5%)

2019年03月04日

(斉藤 誠) アジア経済

■要旨

インド経済は10-12月期の成長率が+6.6%となり、過去5四半期で最も低い水準となった。高額紙幣廃止や物品・サービス税(GST)導入に伴う経済の混乱からの回復局面が一服するなか、民間消費と政府部門が景気の足を引っ張った。経済の先行きは、消費が農家の所得向上と来年度実施される所得減税の影響で持ち直す一方、輸出と投資が海外経済の減速や公共事業の縮小を受けて伸び悩み、2019度は+7%程度の勢いを欠いた成長が続くと予想する。また足元で軍事衝突が起きているパキスタンとの対立が深まれば、外国人投資家が離れてしまい、投資や通貨ルピーに短期的な下押し圧力がかかる恐れがある。

■目次

 ・経済概況:緊縮財政で政府部門が落ち込み
 ・経済見通し:2019年度は+7%程度の勢いを欠いた成長へ
 ・(為替の動向)来年度には再びルピー安へ
 ・(物価の動向)来年度は緩やかに上昇
 ・(金融政策の動向)4月に追加利下げ

経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠(さいとう まこと)

研究領域:経済

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴

【職歴】
 2008年 日本生命保険相互会社入社
 2012年 ニッセイ基礎研究所へ
 2014年 アジア新興国の経済調査を担当
 2018年8月より現職

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