1|今回のガイダンスについて
このガイダンスの公表について、英国政府は、この段階では、「交渉結果を確保する上で英国とEUの相互利益を考えれば、英国が合意なしにEUを離脱するシナリオ(「No deal」シナリオ)は起こりそうもないことのままである。」との前提の下に、しかしながら、「政府は、2019年3月の潜在的な『No deal』の結果を含め、全てのシナリオで英国が1日目から準備を整えるための重要なプログラムを実施している。」として、一連の技術告知を行っていくとしており、今回のガイダンスはそのシリーズの一部と位置付けている。
英国政府は、こうした一連の技術告知により、「会社や市民が『No deal』のシナリオで行う必要があることを理解できるように情報を設定しているので、情報に基づいた計画と準備をすることができる。」としている。
2|今回のガイダンスの目的
この通知の目的は、ステークホルダー(金融サービス会社とファンドの個人及び法人顧客、金融サービス会社、ファンド及び金融市場インフラストラクチャ)に、英国がNo dealでEUを離脱することの影響についての情報、及びどのようなシナリオにおいても機能する金融サービスの規制枠組みを有していることを確実にするための政府のアプローチを提供することである。
3|今回のガイダンスの概要
今回のガイダンスの概要については、以下の通りとなっている。
この文書は、交渉の終結の可能性の意味合いと、政府がどのような行動をとる用意があるのかについて、英国の主要ビジネスの一部に技術的助言を与えている。
金融サービスについては、混乱が生じることを最小限にすることを確実にするため、一方的な規制手順が含まれている。
No-deal Brexitシナリオには、企業が活動を継続できる法的枠組みが確保されることを確実にするために、以前に発表された一方的なイニシアティブが含まれている。
これには、例えば、EEAの会社が英国の規制当局による事業の承認を待っている間に、EEAの企業がBrexitの後、英国で最大3年間事業を継続できるようにする「暫定的許可制度(Temporary Permission Regime:TPR)」の導入が含まれている。
No dealの結果の場合、英国は、EEAの会社と英国ベースの顧客との間の保険契約などの契約上の義務が、TPRによってカバーされない場合でも満たされるように、法律を導入することを計画している、と主張している。
今日の技術的助言は、国境を越えた契約の保護やパスポートの権利の必要性を認識しているが、No dealは、EEA会社が第三国会社として扱われ、EEA顧客はEUからの保護を求めるべきであることを意味している、と明確に述べている。
「EUの措置がない場合、EEAに現在パスポート権で営業展開している英国会社のEEA顧客は、融資や預金サービス、保険契約にアクセスできなくなる可能性がある。」としている。また、「英国の当局は、英国会社のEEA顧客に対するリスクを完全に解決することを、一方的な行動を通じてはできない。」と述べている。
英国政府が7月に公表したBrexitに関する白書
6では、英国とEU市場間の重い相互依存関係から、これらの契約タイプに特化した第三者機関制度を設立するように、具体的にEUに要請した。
Brexit担当大臣のDominic Raab氏は、No dealの通知のリリースに先立つ演説で、「No dealの場合には、そしてEUが実際に相互承認するかどうかにかかわらず、少なくとも短期間でできるだけ多くの連続性を維持するために、一方的な対応を行うことに意味がある。」と述べた。
彼はまた、これが今後数週間続く一連の通知の中の最初であるとし、「No dealの場合に、リスクを管理し、緩和することによって、課題に対処し、先に横たわる機会をつかむことによって、英国国民のためにBrexitを届ける準備ができている。」と述べた。