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シェアリングエコノミーの拡大
新たな経済活動の動きとして、シェアリングエコノミー
7が注目されている。インターネット通販に関連するシェアリングエコノミーとして、ネットオークションとフリマアプリ
8を挙げられる。ジャストシステム「Eコマース&アプリコマース月次定点調査」(2018年5月度)によれば、「個人間商取引(CtoCサービス)を利用したことがある」との回答が約3割を占めており、CtoCサービスの利用が一定程度進んでいる状況が窺える。(図表19)。また、現在利用しているCtoCサービスとしては、「メルカリ」(フリマアプリ)と「ヤフオク!」(ネットオークション)が上位となっている(図表20)。
経済産業省「電子商取引に関する市場調査」によれば、2017年のネットオークション(個人間取引)の推定市場規模は約3,569億円(前年比3.2%増)、フリマアプリの推定市場規模は約4,835億円(前年比58.4%増)と拡大が続いている。
シェアリングエコノミーが更に進展するためには、消費者の不安解消および法規制の再整備が必要との指摘がある
9。これに対しては、「シェアリングエコノミー推進プログラム
10」の開始や「シェアリングエコノミー促進室」の設置(2017年1月)等、シェアエコノミーの認知度向上等に寄与する取組みが始まっている。
上記の取組み等に後押しされ、今後もシェアリングエコノミー市場の拡大は継続すると見込まれる。
総務省「平成30年版 情報通信白書」では、「シェアリングエコノミーの進展による新市場の創出に伴い、既存市場への負の影響も生じる可能性がある。シェアリングエコノミーが拡大すると新品の購入が減る可能性がある」と指摘されている。インターネットショッピング等に与える影響を懸念される一方で、フリマアプリ等を通じた商品の二次流通が新品の購入意欲を刺激するとの見方もある。現時点では、シェアリングエコノミーの拡大が、インターネット通販市場成長の推進もしくは阻害要因とは断言できない。
ただし、個人から個人へ商品を送るシェアリングエコノミーでは、インターネット通販と同様に荷物の配送が重要となる。上記のメルカリは、ヤマト運輸と提携した出品した荷物の発送サービス「らくらくメルカリ便」を、2018年5月から全国のセブンイレブンの店舗での受付を開始している。シェアリングエコノミーの拡大が宅配便取扱個数をさらに押し上げ、前項に示したラストワンマイルにおける人手不足に拍車をかけることは懸念される。