2018年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.1%(年率▲0.5%)を予測~

2018年04月27日

(斎藤 太郎) 日本経済

■要旨
  1. 5/16に内閣府から公表される2018年1-3月期の実質GDPは、前期比▲0.1%(前期比年率▲0.5%)と9四半期ぶりのマイナス成長になったと推計される。
     
  2. 外需が成長率に対してほぼニュートラルとなる中、設備投資は6四半期連続で増加したが、民間消費、住宅投資の家計部門がいずれも減少し、民間在庫変動が成長率を押し下げたことから、国内需要が5四半期ぶりに減少した。
     
  3. 名目GDPは前期比▲0.2%(前期比年率▲0.8%)と6四半期ぶりのマイナス成長となるだろう。GDPデフレーターは前期比▲0.1%、前年比0.5%と予測する。
     
  4. 実質GDPは2015年10-12月期以来のマイナス成長となる可能性が高いが、その一因となった民間在庫変動は2次速報で上方修正される可能性があること、民間消費の減少は大雪、生鮮野菜の価格高騰といった一時的な要因によるものであることを踏まえれば、景気の回復基調は維持されていると判断される。
     
  5. 4-6月期は一時的なマイナス要因の剥落に伴い民間消費が増加することなどから、潜在成長率を上回るプラス成長に復帰する可能性が高い。ただし、景気の牽引役となってきたIT関連需要には陰りが見られ、在庫が積み上がっている。IT関連の在庫調整が長引けば、景気の停滞色が強まる恐れがあるだろう。
■目次

●1-3月期は年率▲0.5%を予測~9四半期ぶりのマイナス成長~
●主な需要項目の動向
  ・民間消費~大雪、野菜高騰の影響で減少~
  ・住宅投資~相続税対策の需要一巡などから3四半期連続の減少~
  ・民間設備投資~企業収益の改善を背景に増加が続く~
  ・公的固定資本形成~横ばいが続く~
  ・外需寄与度~輸出入ともに伸びが鈍化しほぼゼロに~

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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