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消防団の活動内容と現状
消防団の活動は、先に挙げた消火活動、救助活動、水防活動のほか、防火・啓蒙活動、救命講習など、災害等の発生に日頃から備える活動も含まれる。
また、いわゆる国民保護法(正確には「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成16年)」)においては、消防団が避難住民の誘導などの役割を担うことが規定され、ますます果たす役割が重くなってきている。(いわゆる国民保護法第97条)
消防団員は昭和30年代には200万人近くいたようだが、減少の一途をたどり、現在では85万人程度となっている。団員の平均年齢は統計のある昭和40年には33歳だったのだが、高齢化がすすみ、平成29年では40歳程度となっている。また全体の人数が減少する中にあって、女性団員数は増加しており、平成15年の1.2万人から平成29年に2.4万人とこの15年間に倍増している。
もうひとつ消防団の活動に影響する状況として、被雇用者団員(簡単にいえばサラリーマン)の比率が上昇しているということがある。昭和40年には26%程度だったが、現在では73%程度にまで上昇している。
消防団員数の減少の背景のひとつは、常備消防が充実してきており、特に都市部では消防団という前に、消防署からすぐに駆けつけてくれる体制になっているということもあり、それはそれで望ましいことではある。一方で、やはり消防団に加入すると、各種の訓練、会合などで時間を割かれるので、上にあげたようにいわゆるサラリーマンが多くなると、なかなか入団するにも躊躇するといったことにもなるだろう。
特に、一部では時代遅れとも評される消防操法の訓練や、その競技会に向けた準備において、団員の体力・時間の負担が相当に重い、との感想をよく見かける(これはネット上の個人の感想をみただけではあるが、さもありなんという気がする。)。
(筆者自身も、入団の勧誘を受けたことはあり、気軽に入ってもいいかなとは思っていたが立ち消えになった、という経験はある。その時深く考える機会はなかったが、一旦入団すると、かなり時間と体力などを割かれるようなので、今思えば、会社員ではなかなか厳しいものだったのかもしれない。)
そうした最近の傾向を踏まえながらも、消防団の力を保持しようということで、2007年より消防庁等で検討され、各市町村が順次運用を始めた「消防団協力事業所制度」なるものがある。
これは、被雇用者が活動しやすい環境を整備する目的で、勤務時間中の活動への便宜を図ること、従業員の入団促進など事業所が消防団活動に協力すること、あるいは災害時に資材などを消防団に提供すること、などの点で基準をクリアすれば、そういった表示証を交付するなどして、企業側のイメージアップもでき、何よりも地域防災体制が一層充実する、という仕組である。
(この仕組だと、自宅のある市町村というよりは職場のある市町村の消防団に協力することになる。)
3――おわりに