日銀短観(3月調査)~大企業製造業の景況感は8四半期ぶりに悪化、先行きへの警戒も根強い

2018年04月02日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■要旨
 
  1. 日銀短観3月調査では、注目度の高い大企業製造業の業況判断D.I.が24と前回12月調査比で2ポイント下落し 、8四半期ぶりに景況感の悪化が示された。大企業非製造業の業況判断D.I.も2ポイント下落し、6四半期ぶりに景況感が悪化した。製造業では主に円高の進行による輸出採算の悪化や原材料価格の上昇を受けて、景況感が小幅に悪化した。大企業非製造業では、主に原材料価格の上昇や人手不足(とそれ伴う人件費増加)の影響で景況感が小幅に悪化した。中小企業の景況感は製造業が横ばい、非製造業が若干改善した。
     
  2. 先行きについては幅広く悪化が示された。今後の円高進行や米保護主義への警戒感が現れたとみられる。また国内要因では、人手不足に緩和のメドが立たないことが事業の円滑な遂行に対する懸念材料として台頭していると考えられる。
     
  3. 2017年度の設備投資計画(全規模全産業)は、前年比4.0%増と前回調査時点から小幅に下方修正された。一方、今回から新たに公表された2018年度の設備投資計画(同)は、2017年度計画比で0.7%減となった。例年3月調査の段階では前年割れでスタートする傾向が極めて強い。従って、近年同時期の調査との比較が重要になるが、今回の0.7%減という値は3月調査としては2007年度以来の高水準となる。円高や米保護主義への警戒はあるものの、足元の良好な企業収益や人手不足に伴う省力化需要などが追い風となり、強めの計画に繋がったとみられる。ただし、今後の為替や米保護主義の動向によっては、投資計画が慎重化する恐れがある。
     
  4. 販売価格判断D.I.は製造業を中心に上昇した。原材料高や人手不足に伴う人件費増が背景にあるとみられるが、今後、最終財にどこまで価格転嫁の動きが波及するのかが注目される。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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