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気象庁以外が予報を行う場合の定め
天気予報というのは、誰でも勝手にやってよいものではない。天気予報は国民の生活や企業の活動に深く関連しており、技術的な裏づけのない予報が発表されると、それに基いて行動した者に混乱・被害を与えかねない、というのがその理由である。確かに様々な行事の開催が、怪しい情報に左右されるだけでも問題だが、人命にかかわる防災の観点からはなおさら重要である。
そういった重要性から、もともと昭和27年に気象業務法ができた時点では、気象庁が一手に予報業務を担う前提で、法律が整備されていた。その後平成5年に、民間事業者などが一定の条件のもとで、独自に予想を行ってもよいように法改正された。この気象業務法の中でも、気象庁以外の者が予報を行う場合のルールが、相当の部分を占めている。
「気象庁以外の者が、気象、地象、津波、高潮、波浪又は洪水の予報の業務を行おうとする場合には、気象庁長官の許可を受けなければならない。」(気象業務法第17条)
なおかつ、この許可を受けることのできる基準は、
・観測その他の予報資料の収集、資料の解析の施設、要員を有すること
・気象庁の警報事項を迅速に受けられる施設・要員を有すること
・主に気象についての予報業務を行う場合には、「気象予報士」を置く義務があり、予報業務のうち現象の予想については、気象予報士に行わせなければならないこと
などが定められており(同 第18条)、ここに「気象予報士」なる資格が出てくる。
気象予報士になるには、気象庁長官の行う気象予報士試験に合格して、登録を受ければよい。その試験制度全般についてもこの法律に記載されている。
テレビのニュースのお天気コーナーなどにこの気象予報士という肩書きをもつキャスターが出演していることも多いので、「天気予報には、そういう肩書きが必要なのかな?」と感じている人も多いだろう。実際には、テレビのニュースなどで、「気象庁発表の予想」を報道し、解説するだけなら、許可はいらない。だから、お天気キャスターそのものには気象予報士の資格は必要ないのだが、その予報に信頼ある印象をもたせる効果はあるだろう。もし独自に現象の予想をするならば、キャスターではなく、実際に予想する裏方の仕事に、資格が必要となる。
なお、天気予報には天気そのものの他に、例えば「花粉の飛散状況」などが報道されていることが多いが、これは「大気の状況」とはみなされないので、天気予報としては規制されないようだ。同様に「洗濯指数」とか「ゴルフ指数」とか何か活動に適した○○指数というのも、観ている側にはおおいに参考になるが、大気の状態ではないので、ここでは特に規制されない。(気象庁ホームページのQ&Aによる)
しかし、どこから許可が必要かという線引きは、個々のケースによってあいまいなこともあるようだ。この予報業務の「業務」とは「反復・継続して行われる行為」とされているので、一回きりならいいのか、など。個人のホームページで独自の予想を発言するのはどうかなど、詳しくは気象庁に確認する必要がありそうなので、実際に独自に予想したい方は注意されたい。なお、金銭などの報酬を伴うかどうかは、全く関係ないようである。
2――気象庁のみが「警報」をだすことができる