中村 亮一()
研究領域:保険
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2―今回のORSAに関する監督評価の概要
第1:取締役会はORSAプロセスにもっと積極的に関与する必要がある。
第2:標準式からの偏差の必要性は適切に評価されるべきである。
第3:ストレステストシナリオの品質を改善する必要がある。
EIOPA CALLS FOR FURTHER IMPROVEMENT IN THE ORSA IMPLEMENTATION
EIOPAは、ORSA実施のさらなる改善を求める
・(再)保険会社は、リスクとソルベンシーの自己評価(ORSA)プロセスの導入を進めているが、さらなる改善が必要だ。
・(再)保険会社の取締役会は、ORSAプロセスにおいてより積極的な役割を果たす必要がある。
・標準式からの偏差は適切に評価され、重要であれば全体的なソルベンシーニーズに反映されるべきである。
・ORSAプロセスで使用されるストレステストシナリオの品質をさらに改善する必要があり、リスク評価は全ての潜在的なリスクの影響をカバーする必要がある。
フランクフルト、2017年6月19日 - 本日、欧州保険年金監督局(EIOPA)は、欧州(再)保険会社がORSAプロセスをどのように実施したかについての最初の監督経験を概説する監督声明を発表した。この声明は、国家監督当局によって実施されたソルベンシーIIの枠組みの下でのORSAの監督評価に基づいている。
この分析は、(再)保険会社の大多数がORSAプロセスの実施において良好な進歩を示したことを示している。 この積極的な進歩にもかかわらず、EIOPAはさらなる改善の必要性を認識している。 特に、管理、経営、監督機関のORSAへの関与は、より大きな程度まで必要とされている。取締役会メンバーは、ORSAプロセスにおいてより積極的な役割を果たし、戦略的な意思決定プロセスにおいて、この重要なリスク評価をより明白に考慮する必要がある。
さらに、EIOPAの分析は、リスク管理に関する標準式に対する保険会社の過度の依存を示している。したがって、EIOPAは、ソルベンシー全体のニーズを適切に判断するために、企業のリスクプロファイルの標準式からの重要な偏差を徹底的に評価することの重要性を強調している。リバースストレステストの使用を含む、ORSAプロセスで使用されるストレステストシナリオの品質や、全ての潜在的リスクの影響をカバーするために、さらなる改善が必要なリスク評価の範囲に、特別な注意が払われる必要がある。
EIOPAのGabriel Bernardino会長は次のように述べている。
「EIOPAは、ORSAプロセスの実施における(再)保険会社の進展を歓迎する。 同時に、EIOPAは、この重要なリスク管理ツールを会社のビジネス戦略により良く統合させるために必要なさらなる改善を求めている。 この将来を見据えたリスクとソルベンシーの自己評価は、欧州の消費者を保護し、欧州の金融安定性を確保するために重要である。」
3―今回のORSAに関する監督評価の具体的内容
管理、経営、監督機関のより大きな関与が必要:
EIOPAは、会社にORSAプロセスにおける管理、経営、監督機関(AMSB)の関与を改善することを奨励する。取締役会メンバーは、トップダウン・アプローチに従い、ORSA評価において積極的な役割を果たすことが期待されている。 EIOPAは、AMSBメンバーが、事業の全体的なリスク管理を強化するために、戦略的意思決定プロセスにおいてORSAの結果を使用することを期待している。