1 「高齢者の安否見守りサービス」(2003年6月6日)、国民生活センターホームページ。
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高齢者見守りサービスへのニーズ(高齢者側、家族側双方のニーズ)
こうした高齢者見守りサービスに対するニーズ動向調査としては、高齢者側のニーズ動向調査と、高齢者の家族側のニーズ動向調査の双方がある。
高齢者側のニーズ動向調査としては、東京都健康長寿医療センター研究所メンバーによる「独居高齢者見守りサービスの利用状況と利用意向」(2011年9月)がある。
これは、2011年9月、東京都大田区において、65歳以上の単身世帯高齢者2,569人全員を対象に、大田区で実施されている公的見守りサービスなどに関する質問表を郵送し、回答があり、実際に独居であった1,095人のデータを分析したものである。
実際の利用者は、緊急通報(公的助成のある有償のペンダント式通報ボタンなど)11.3%、緊急連絡先登録(無償の民生委員への緊急連絡先の登録)18.0%、人的見守り(定期的な電話による安否確認、公的助成額以上の通話料は有償)10.3%、センサー見守り(民間が実施)4.7%となっている。
また今後の利用意向としては、緊急通報47.9%(非利用者については81.4%)、緊急連絡先登録36.2%(同75.1%)、人的見守り32.6%(同60.0%)、センサー見守り30.6%(同53.1%)となっている。
病気や事故などの緊急時に対応するサービスの方が、普段の生活や安否状況を見守るサービスよりも利用率や利用意向が高いという傾向が示されている
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一方、高齢者の家族側のニーズ動向調査としては、財団法人ベターリビングサステナブル居住研究センターによる「緊急通報・安否確認システムによる高齢者の見守りサービスに関するニーズ調査結果」(2011年12月)がある。
これは、さまざまな民間事業者により、緊急通報サービスや安否確認サービスなどの高齢者見守りサービスが提供される中で、こうしたサービスに対するニーズを把握するため、全国の65歳以上の親と離れて暮らす子世代(30歳以上64歳以下)の男女1,500人を対象として、2011年12月に実施されたものである。
離れて暮らす親への心配度としては、父親については77.6%、母親については81.9%に達するが、実際の見守りサービスへの加入割合は、緊急通報サービスが 3.5%、安否確認サービスが1.0%、駆け付けサービスが1.7%に止まっている。
見守りサービスに加入していない理由としては、「まだ自分の親には必要ない」が47.6%を占め、次いで「親の住まいの近所に自分や兄弟・親戚などがいるから」が42.0%となっている。
今後の見守りサービスへの加入意向としては、「必要と思う時期が来たら加入したい」が 45.9%と多数を占め、「数年以内には加入したい」(3.9%)、「すぐにでも加入したい」(0.8%)を含め、加入意向のある者が過半数を超えるが、「加入を検討する予定はない」とする者も28.4%と3割近くを占めている。
サービスに加入する際の重視する事項としては、「サービス加入時の初期費用や月々の支払料金」が 66.8%、次いで「現場まで駆け付けてくれる時間」が 64.0%となっている。
見守りサービスの妥当な価格水準としては、「緊急通報サービスのみ」と「安否確認サービスのみ」では月額「500 円未満」が半数程度(それぞれ51.9%、48.3%)となっている一方、「緊急通報+安否確認+駆け付けサービス」では月額「3,000円以上」が約4分の1(24.6%)となっており、組み合わせサービスについてはある程度の負担が必要と認識している者が多いことがうかがえる
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2 小池高史、深谷太郎、野中久美子、小林江里香、西真理子、村山陽、渡邊麗子、新開省二、藤原佳典「独居高齢者見守りサービスの利用状況と利用意向」『日本公衆衛生雑誌』第60巻第5号、日本公衆衛生学会、2013年5月。
3 「緊急通報・安否確認システムによる高齢者の見守りサービスに関するニーズ調査結果」(2012年11月27日)、財団法人ベターリビングホームページ。