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イギリスは保険金詐欺により、1世帯あたり年間50ポンド(約7,000円)の保険料負担増
続いて、イギリスの様子を見る。イギリスでは、保険協会(Association of British Insurers, ABI)が、偽装自動車衝突事故等により、2013年に13億ポンド(約1,800億円
6)の保険金詐欺での支払いがなされたと公表した。この金額は、前年から18%増加し、記録的な高水準となっている。ABIは、保険金詐欺により1世帯あたり年間50ポンド(約7,000円)の保険料負担増につながっているとしている
7。
イギリスでは、2006年に、自動車保険の保険金不正請求に取り組むための、保険金詐欺局(Insurance Fraud Bureau, IFB)が設置されている。また、2012年には、保険詐欺取締施行部(Insurance Fraud Enforcement Department, IFED)という専門の警察組織が設置され、被疑者の起訴等を支援してきた
8。
また、2012年には、ABIが主導して、イギリス全国で保険金詐欺者を登録する、保険金詐欺登録制度(Insurance Fraud Register, IFR)が開始されている。この制度は、損保市場の60%超を占める保険会社で活用されている
9。契約者が保険に加入する際や、更新する際、給付を請求する際などに、保険金詐欺の企ての有無についての情報が、保険会社に提供される。この制度は、2020年まで、継続して実施されることが決まっている。
6 1ポンド=140円で換算 (以下、同様)。
7 "Insurance fraud at record high, says ABI"(BBC News , 30 May 2014)より。
8 ロンドン市警察のホームページより (https://www.cityoflondon.police.uk/advice-and-support/fraud-and-economic-crime/ifed/Pages/About-IFED.aspx)
9 "Industry sign-up to Insurance Fraud Register ahead of target"(IFR, News & Updates, 2017.4.4)