生命保険市場の基礎データ(2015年版)【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(22)

2016年10月18日

(片山 ゆき) 中国・アジア保険事情

1-生保収入保険料の推移

2015年の中国の生命保険(健康保険、傷害保険等を含む)の収入保険料は、前年比25.0%増の1兆6228億元(日本円では約30兆円規模)であった。直近5年間の収入保険料の動向は、銀行窓販の規制、会計基準の改訂の影響を受けた2011年を底に、毎年増加を続けている。収入保険料の増加率が20%を超えたのは、直近では2010年の前年比28.7%増以来で、収入保険料の規模はこれまでで最大となった。

2-商品構成の推移〔収入保険料ベース〕

2-商品構成の推移〔収入保険料ベース〕

2015年の商品構成(収入保険料ベース)は、無配当保険が前年より8.5ポイント増加し、42.4%と最も多くを占めた。次いで、有配当保険が前年比10.8ポイント減少し、40.5%を占めた。無配当保険は構成比において初めて有配当保険を上回った。

2014年、2015年の無配当保険の構成比の増加については、2013年後半の予定利率の上限緩和措置に伴う、商品競争力の向上が大きく影響している。

また、医療保険を含む健康保険も構成比が増加しているが、2014年に年間2400元を上限とした所得控除の導入が発表されており、国としても医療保険への加入インセンティブを高めている。

 

3-販売チャネル構成の推移〔収入保険料ベース〕

3-販売チャネル構成の推移〔収入保険料ベース〕

2015年の販売チャネル構成(収入保険料ベース)は、個人代理人が47.5%と最も多くを占めた。次いで、銀行窓販が41.7%を占め、この2つのチャネルで、全体の89.2%とおよそ9割を占めた。

直近の5年間の動きをみると、個人代理人は全体の5割、銀行窓販は4割ほどで推移している。銀行窓販は2010年に当局からの規制が強化されたこともあり、全体としては、2011年以降、その割合は減少傾向にある。

また、インターネットや電話による販売を含む直販(8.4%)もこの5年間で3ポイントほど増加している。生保各社もインターネットやスマートフォンのアプリ開発等、フィンテック(金融+IT)を活用した販売を強化している。


 

保険研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

片山 ゆき(かたやま ゆき)

研究領域:保険

研究・専門分野
中国の社会保障制度・民間保険

経歴

【職歴】
 2005年 ニッセイ基礎研究所(2022年7月より現職)
 (2023年 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了) 【社外委員等】
 ・日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
 (2019年度・2020年度・2023年度)
 ・生命保険経営学会 編集委員・海外ニュース委員
 ・千葉大学客員准教授(2023年度~) 【加入団体等】
 日本保険学会、社会政策学会、他
 博士(学術)

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