中村 亮一()
研究領域:保険
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新商品の周りの議論は、常に最高責任準備金評価利率の有用性についての質問と混在される。2つのことがこの文脈で考慮されなければならない。まず、保険会社はすでに保証無し、あるいはより低いまたは期間限定の保証付の新しい商品を提供することができる。もう1つの要素は、最高責任準備金評価利率が、保証を含んでいる商品に対しては、バックストップとして働いていることである。
BaFinの観点からは、最高責任準備金評価利率は、保険会社が契約条件について喉をかききるような厳しい競争に従事するのを防いできたことから、過去数十年で、その目的を達成してきた。BaFinのみが、2016年年初に発効した新しいフレームワークを実際に観察する機会がある時に、ソルベンシーIIの規制要件が最高責任準備金評価利率を余剰的なものとするのかどうか、そしてどの程度まで、という点についての意味のある見方をすることができるようになる。連邦政府によって計画されているように、BaFinは、2018年に、最高責任準備金評価利率を再評価する。
ZZR(Zinszusatzreserve)の進展
2011年以来、生命保険会社は、将来的により低い投資収益で、高いままの保証債務に備えるために、追加のバッファであるZZRを積み立てることを要求されてきた。彼らは2015年に、このために€107億を費やした。累積ZZRは、2015年末で、€320億の絶対額に達した。ZZRを算出するために使用される参照利率は、2015年末で2.88%だった。
ZZRのレビュー
今後数年間で、ZZRの積立を行うために、かなりの努力が必要であり続けることが予想される。一般的に、それは低金利時代において長期間にわたる保険契約者の保証を確実にするための適切なツールのままであるが、BaFinは業界全体にわたってそして個々の保険会社に対して、事態がどのように進展していくのかについて見守っていく。必要が生じた場合は、ZZRが適切に較正されているかどうかを調査する。
3―ソルベンシーIIの内部モデルの適用状況
ソルベンシーIIの重要な要素は、リスクベースのソルベンシー資本要件の算出である。会社は、標準的な式または個々のリスク・プロファイルを正確に表す内部モデルのいずれかを使用することによってこれを行うことができる。BaFinは、前もって内部モデルを承認しなければならないが、このプロセスを2015年4月にスタートさせ、2016年1月以来、4つの再保険会社、12の損害保険会社、3つの健康保険会社と3つの生命保険会社が、そのSCRを計算するために内部モデルを使用することが承認された。また、5つのドイツの保険グループは、グループのソルベンシーを計算するために(部分)内部モデルを使用する。BaFinは、2016年にさらなる申請に関する決定を行う。加えて、BaFinからの承認を得る必要があるモデルの拡張や変更がある。
申請に要求される文書化だけでも、2つの側面で、かなりのものとなっている。1つには、申請は最大10万ページにもなるかもしれず、その完全性と内容がBaFinによって確認されなければならない。2つ目に、監督当局はその文書を関係する外国の監督当局に遅滞なく転送しなければならない。
申請が受領されたら直ぐに、会社は確認書を受け取る、申請の完全性は30日以内、ソルベンシーⅡ指令の第231条の下でのグループ内部モデルの場合には45日以内にチェックされる。もし、申請が完全であれば、その受領から6ヶ月の(審査)期間がスタートする。BaFinはその期間内に申請に関する完全な決定を行わなければならない。
2016年におけるEIOPAの優先事項の一つは、内部モデルの監督をさらに調和させることである。このために、EIOPAは、例えば、市場リスクモデルのキャリブレーションについて、国の監督当局と一緒にベンチマーク調査を行う。加えて、使用されるモデルの継続的なパフォーマンステストを可能にする適切な定量的なツールを開発することを計画している。BaFinは、これらのプロジェクトに関与している。また、例えば、特定のキャリブレーションで資本規制要件を不当に減らすことによって、保険会社が内部モデルを乱用することを防ぐために密接に事業を監視し続けていく。
研究領域:保険
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