【5月米住宅着工、許可件数】住宅着工件数は前月比で小幅減少も、4月以降の回復基調は持続。

2016年06月20日

(窪谷 浩) 米国経済

1.結果の概要:小幅ながら、住宅着工は予想対比上振れ、許可件数は下振れの結果

6月17日、米国センサス局は5月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は116.4万件(前月改定値:116.7万件)と、前月比▲0.3%(前月改定値:+4.9%)では小幅のマイナスとなったものの、市場予想の115.0万件(Bloomberg集計の中央値、以下同様)を上回った(図表1、図表3)。

住宅着工に先行する住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は、113.8万件(前月改定値:113.0万件)と、前月比+0.7%(前月改定値:+4.9%)では小幅のプラスとなったものの、市場予想(114.5万件)は下回った(図表2、図表5)。

2.結果の評価:4月からの回復基調が持続

住宅着工件数は、前月比でマイナスとなったものの、小幅に留まっており、3月に111.3万件に落込んだ水準からの回復が4月以降持続していると考えて良いだろう。前年同月比では+9.5%(前月:▲2.1%)と前月のマイナスから再び2桁近い増加に転じた。

住宅着工件数(前月比)の地域別寄与度をみると、西部が+2.9%ポイント(前月:▲2.2%ポイント)と前月に落込んだ反動もあり、プラスに転じたほか、南部が+0.8%ポイント(前月:+5.8%ポイント)と2ヵ月連続のプラスとなった(図表4)。一方、前月大幅なプラスであった中西部が▲0.4%ポイント(前月:+4.0%ポイント)とマイナスに転じたほか、北東部が▲3.5%ポイント(前月:▲2.8%ポイント)と2ヵ月連続のマイナスとなった。
一方、住宅着工件数の先行指標である住宅着工許可件数の前月比は、2ヵ月連続でプラスとなっており、回復基調が持続している(図表5)。もっとも、前月のレポートで指摘した通り、住宅着工許可件数は15年4月以降急増したこともあり、前年同月比では▲10.1%(前月▲4.1%)と2ヵ月連続でマイナスとなったほか、マイナス幅は2桁に拡大した。住宅着工許件数は15年6月も急増しているため、前年同月比では6月も大幅なマイナスが予想される。

許可件数を一戸建て、集合住宅で分けてみると、一戸建てが前月比▲2.0%(前月:+2.2%)とマイナスに転じた一方、集合住宅は+5.9%(前月:+10.5%)と2ヵ月連続でプラスを維持した(図表6)。
全米住宅建設業教会(NAHB)が先日発表した6月の住宅市場指数は、60(前月:58)と5ヵ月ぶりに前月から改善した。新築住宅販売の現状判断が64(前月:63)と前月から改善したほか、6ヵ月後の新築住宅販売見込みが70(前月:65)と15年10月の75以来の水準に上昇した。住宅市場指数は暫く回復の頭打ち傾向が続いていたが、漸く同指数に回復がみられており、今後も住宅市場の回復持続が期待できる。

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩(くぼたに ひろし)

研究領域:経済

研究・専門分野
米国経済

経歴

【職歴】
 1991年 日本生命保険相互会社入社
 1999年 NLI International Inc.(米国)
 2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
 2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
 2014年10月より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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