コラム

「年の差婚」の希望と現実-未婚化・少子化社会データ検証-データが示す「年の差」希望の叶い方

2017年02月20日

(天野 馨南子) 子ども・子育て支援

希望はさておき、成婚カップルの年齢差の現実は?

しかしながら、未婚男女の結婚相手との年齢差希望がどうであれ、実際は「出会ってみたらその希望は変わるかも知れない。やはり出会ってみなければわからない。」という議論は当然ありうる。年齢差だけで決められるほど現実の結婚は安易なものではないはずである。

そこで、今度は最近(2015年)結婚したばかりの既婚者の実際の年齢差のデータを見ることにしてみよう。図表2は2015年に初婚で婚姻届を提出したカップルの年齢差についての国の大規模調査の結果である。
 
図表からは、2015年に婚姻届が出された初婚カップルにおいては、
  • 未婚男女の年齢差希望が、男性側が同じ年齢から4歳年上までの希望で約6割であるのに対し、実際のその割合は57%であり、希望と現実の間に乖離はほぼ見られない。
     
  • 男性が7歳以上年上の結婚は11%で、男性の希望をやや上回る結果となった。
     
  • 希望と現実との間に顕著な乖離が生じたのは、男女とも1割を切る最もマイナーな希望である「女性が年上」の結婚が現実では24%に達しているところである。

という結果がみてとれる。
2015年における妻が年上の「姉さん妻婚」は、未婚における女性の希望の約6倍、男性の希望の約4倍にものぼり、希望から照らしてみるとあまりに意外な「年の差婚」の実態が現れた。

4組に1組が「姉さん妻」時代

最後に、姉さん妻カップルの長期推移を示してみたい。初婚夫婦の年齢差において、夫が年上、妻が年上の2つのパターンの長期推移を示したものが図表3である。
 
この40年間で夫が年上の伝統的パターンの結婚は約8割から約6割へと大きく減少している。その一方で、2000年の調査以降、妻が年上の結婚が約2割へと増加し、2015年データでは24.0%とおよそ4組に1組のカップルについて、妻が年上の姉さん妻婚であることがわかる。
図表1から希望段階では「姉さん妻婚」支持者は男女ともかなりマイナーであることを考えると、やはり「結婚は実際に出会ってみなければわからない」という考えは極めて正しい議論であることが支持される結果となったといえよう。

そして、実際に出会ってみた男女の結論が希望と乖離する場合、その乖離の方向性が近年においては「実際に出会ってみたら、年上女性・年下男性が意外とよかった」という姉さん妻婚にむかっているようである。
 
姉さん妻婚についていま一度図表2をみてみると、古くから「1歳上の妻は金(かね)のわらじを履いてでも探せ」といわれるが、「妻が1歳年上」が最も多くなっている。いまや「金のわらじ婚」は成婚カップルの全体の約1割を占めるようになってきている。

その次に多い姉さん妻婚は「妻が4歳以上年上」(6.5%)である。テレビドラマ低迷時代の中でも驚異的な高視聴率を2016年末に獲得したドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」において描かれた百合と涼太カップルではないが、一般的な想像よりも年の差のある姉さん妻婚カップルが成立している様子がうかがえる。
 
データが示す年の差婚の現実は、夫が年上という伝統的な結婚の急激な減少、ならびに妻が年上の結婚の増加2、という、一般のやや想像を超えると思われるトレンドとなった。
 
 
1 国立社会保障・人口問題研究所(2015)「第15回出生動向基本調査(独身者調査)」
2 図表3では図表の見やすさを優先し示していないが、同年齢カップルの割合も約1割から約2割へと姉さん妻婚同様に倍増している。
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