NEW

企業物価指数2025年8月~国内企業物価は3ヵ月連続の2%台~

2025年09月11日

(佐藤 雅之) 日本経済

1.国内企業物価の上昇率は3ヵ月連続の2%台

日本銀行が9月11日に発表した企業物価指数によると、2025年8月の国内企業物価は、前年比2.7%(7月:同2.5%)と3ヵ月連続の2%台となった。

内訳をみると23類別中、18類別が上昇し、5類別が低下となった。25年7~9月使用分で電気・都市ガス代の支援策が再開されたことから、事業用電力が前年比▲2.3%(7月:同0.9%)、都市ガスが同▲6.1%(7月:同▲4.5%)となり、電力・都市ガス・水道は前年比▲2.9%(7月:同▲0.1%)と前月からマイナス幅が拡大し、全体を押し下げた。
一方、コメの価格高騰を背景に、精米は前年比72.4%(7月:同74.1%)、玄米は同68.3%(7月:同70.8%)と高い伸びが継続し、農林水産物は前年比40.1%(7月:同42.5%)となった。コメの価格高騰は、すし・弁当・おにぎり(前年比12.2%)などの関連品目にも波及している。そのほか、チョコレート(前年比34.4%)、コーヒー(同33.3%)、果実・野菜缶詰(同10.0%)、ジュース(同12.1%)などが2ケタの伸びとなり、飲食料品は前年比5.0%(7月:同4.7%)と前月から伸びが拡大している。

2.契約通貨ベースの輸入物価は前年比▲4.6%

8月の契約通貨ベースの輸入物価は、前年比▲4.6%(7月:同▲5.0%)と12ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、ガソリンが前年比▲11.9%と13ヵ月連続のマイナス、ジェット燃料油が同▲8.8%となったことなどから、石油・石炭・天然ガスは前年比▲14.9%(7月:同▲15.3%)と12ヵ月連続のマイナスとなった。

一方、前月比では0.0%(7月:同1.1%)と、前月から横ばいとなった。内訳をみると、原油が前月比0.4%、ナフサが同1.5%と上昇したことなどから、石油・石炭・天然ガスは前月比0.3%(7月:同2.4%)とプラスに寄与した。一方、鉄鉱石が前月比▲5.2%(7月:同0.0%)、パラジウムが同▲8.1%(7月:同16.4%)といずれもマイナスに転じたことなどから、金属・同製品は前月比▲0.9%となった。

8月の為替相場は、対ドルでは147円台(前月比0.7%)と7月から円安ドル高で推移したことで、円ベースの輸入物価は前月比0.5%(7月:同2.4%)と2ヵ月連続のプラスとなった。

3.先行きの国内企業物価の上昇率は10月以降に再び鈍化すると予想

先行きの国内企業物価は、9月には前年に電気・都市ガスの補助金政策が実施された裏が出る形でエネルギー価格が上昇に転じることからいったん上昇するが、その後は再び鈍化に向かうことが予想される。また、コメは前年の急上昇の裏が出やすくなることから、コメ価格の前年比の伸びは次第に鈍化していくことが見込まれる。ただし、食料品値上げの動きはしばらく続く可能性が高い。以上より、先行きの国内企業物価の上昇率は前年比1%台へと低下していくと予想する。

経済研究部   研究員

佐藤 雅之(さとう まさゆき)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済

経歴

【職歴】
 2020年4月 株式会社横浜銀行
 2024年9月 ニッセイ基礎研究所

【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)