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ユーロ圏失業率(2025年7月)-若年失業率は過去最低水準を更新

2025年09月02日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:全体の失業率は6.2%

9月1日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2025年7月、季節調整値)】
失業率は6.2%、市場予想1(6.2%)と一致、前月(6.3%)から低下した(図表1・2)
・失業者は1080.5万人となり、前月(1097.5万人)から17.0万人減少した

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率は過去最低水準を更新

ユーロ圏(20か国)の7月の失業率は過去最低水準の6.2%となり、6月(6.3%)からやや低下した。なお、過去データはやや悪化方向に改定された(6月6.2%→6.3%、5月6.2%→6.4%、4月6.2%→6.3%)。

失業者数は7月の前月差で17.0万人減と大幅に減少した。主要4か国ではドイツ(0.2万人)、フランス(0.4万人)がやや増加する一方で、スペイン(▲1.1万人)、イタリア(▲7.4万人)が減少した。失業者数はコロナ禍前より86万人少なく、スペイン(コロナ禍前比▲72万人)が大きく、次いでイタリア(同▲35万人)が減少に寄与している。一方、ドイツやフランスはコロナ禍前よりそれぞれ21万人、16万人失業者が多い(図表3)。

7月の若年失業率は13.9%となり、6月(14.1%)から低下し、コロナ禍以降の最低水準(23年3月の14.0%)を更新した。なお、若年失業率も過去データが悪化方向に修正されている(6月14.1%→14.3%、5月14.3%→14.5%、4月14.3%→14.4%)。若年失業者数は7月で222.7万人(前月差▲6.4万人)と減少し、若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の234.6万人)を下回っている(図表4)。
国別の7月のデータを見ると、失業率は公表されている20か国中、悪化した国が3か国、改善が8か国、横ばいが9か国だった(図表5)。若年失業率は、公表されている16か国中、悪化した国が7か国、改善が6か国、横ばいが3か国だった(図表6)。
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が減少、非労働力人口と就業者が増加し、労働参加率はやや低下した(図表7)。ポルトガルは失業者と非労働力人口が減少、就業者は増加した(図表8)。ポルトガルでも労働参加率は減少したが、依然としてコロナ禍以降の最高値付近にとどまっている。

経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

 ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
  アドバイザー(2024年4月~)

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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