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東南アジア経済の見通し～政策対応で内需は底堅いが、外需は不透明感増し、景気減速へ

2025年06月23日

（斉藤 誠） アジア経済

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■要旨
 
  1. 東南アジア５カ国の経済は概ね堅調を維持している。2025年1-3月期の成長率をみると、ベトナム（前年同期比+6.9％）とインドネシア（同+4.8％）、マレーシア（同+4.4％）、タイ（同+3.1％）は前期から低下したものの、比較的堅調を保った。一方、フィリピン（同+5.4％）は前期から小幅に上昇したが、コロナ禍前と比べて勢いが乏しい状況だ。
     
  2. 消費者物価上昇率は落ち着いた推移が続いているが、先行きは中東情勢の緊迫化による油価上昇や各国の景気刺激策、金融緩和策の影響がラグを伴って波及することにより次第に上向くと予想する。もっとも、今後は外需の悪化による景気減速がディスインフレ圧力となるため、物価上昇は限定的とみられる。
     
  3. 金融政策は景気減速が懸念され、インフレも穏やかで推移することから、各国中銀は金融緩和を続けるだろう。昨年後半からフィリピンが５回、インドネシアとタイがそれぞれ３回の利下げを実施している。先行きはフィリピン、インドネシア、タイに続いてマレーシアが年内に金融緩和に踏み切ると予想する。
     
  4. 先行きは米国の関税政策の影響で外需が鈍化し、これに伴い年後半から各国の景気は減速に向かうと見込まれる。もっとも、公共投資や金融緩和が景気を下支えし、内需主導で底堅い成長が続く見通しである。国別にみると、輸出依存度の高いベトナムとタイ、マレーシアは輸出の悪化により景気減速が大きくなる一方、インドネシアとフィリピンは比較的高めの成長を維持すると予想される。

 
■目次

１．東南アジア経済の概況と見通し
　　（経済概況：前倒し輸出により概ね堅調を維持）
　　（物価：インフレ圧力が更に低下）
　　（金融政策：追加緩和が進む）
　　（経済見通し：外需減速と内需の支えで景気減速は限定的に）
２．各国経済の見通し
　　２－１．マレーシア
　　２－２．タイ
　　２－３．インドネシア
　　２－４．フィリピン
　　２－５．ベトナム

【次ページ】東南アジア経済の概況と見通し

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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠（さいとう まこと）

研究領域：経済

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

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経歴 ＋ －

【職歴】
　2008年　日本生命保険相互会社入社
　2012年　ニッセイ基礎研究所へ
　2014年　アジア新興国の経済調査を担当
　2018年8月より現職

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