2|保険事業の地域別業績
ここでは、各社のセグメント情報に基づいて、保険事業に関する保険収益等と営業利益の地域別内訳を見ている
6,7(資産管理事業等については、地域別内訳が示されていないので、以下では保険事業のみを対象にしている)。
2-1.保険収益等の状況
まずは、保険収益等(保険収益又は保険料)の地域別内訳を見てみる。先に述べたように、これまで各社とも収入の主要な基礎数値として「保険料(Gross Written Premium)」を開示してきたが、IFRS第17号の適用に伴い、これに代わって「保険収益(Insurance Revenue)」での内訳を開示してきている。ただし、Generaliについては、保険収益の地域別の内訳を開示していないため、従前の保険料を使用している。
(1) 2024年の結果
これによれば、各社毎に状況は異なっているが、各社とも自国(親会社国)以外からの保険収益等が一定の規模を有しており、自国以外での事業が大きな位置付けを有している。なお、Avivaの場合、欧州大陸での事業の売却により、欧州事業は英国&アイルランドで展開されている。Aegonはオランダの事業をa.s.r.(以下、ASRと記載)に移管しており、現在はこの会社の持分を所有しているのみであるので、次ページの図表にはオランダの事業は反映されていない。
各社の地域別の構成比の概要は、以下の通りとなっている。
AXAは、生損保の合計で、自国のフランスが26%、フランス以外の欧州が37%、米州が22%、アジア・太平洋が14%となっている。
Allianzの生保は、自国のドイツで42%、ドイツ以外の欧州で34%となっているが、米国中心の米州やアジア・太平洋も1割程度と有意な水準となっている。一方で、損保では、「その他」に国際部門や再保険の数値が含まれていることから、その割合が19%と高くなっている。
Generaliの生保は、自国のイタリアが38%、イタリア以外の欧州で50%と高くなっており、欧州以外の構成比は12%に留まっている。一方で、損保では、よりグローバルに分散してはいるが、イタリアは26%で他社に比べて相対的に高い水準となっている。
Avivaは、基本的には英国&アイルランド以外の欧州事業を売却しているため、英国&アイルランドから構成される欧州の合計が79%、カナダの損保事業である米州が21%となっている。
Aegonは、オランダの保険事業をASRに売却した結果、英国を含む欧州は6%となっており、米国及び中南米
8を含む米州が92%と、かなり高い水準になっている。
Zurichの生保は、自国のスイスが11%、スイス以外の欧州が45%であるのに対して、中南米を中心とした米州が24%、アジア・太平洋も20%で、これらの2つの地域における構成比が他社に比べて高くなっている。一方で、損保は、スイスが9%、スイス以外の欧州が33%、アジア・太平洋が8%であるのに対して、米州が54%とかなり高い水準になっている。
保険収益等という指標で見た場合、アジア・太平洋の構成比は、近年上昇傾向にあり、AXAとZurichの生保では1割を超える水準で、Allianzの生保とGeneraliの生保においても1割程度になっている。