ユーロ圏失業率(2025年2月)-失業率は6.1%で最低値を更新

2025年04月02日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:失業率は6.1%にさらに低下

4月1日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。

【ユーロ圏失業率(20か国、2025年2月、季節調整値)】
失業率は6.1%、市場予想1(6.2%)から下振れ、前月(6.2%)から低下した(図表1・2)
失業者は1058.0万人となり、前月(1065.0万人)から7.0万人減少した

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:失業率は統計データ公表以来の最低値を更新

ユーロ圏(20か国)の2月の失業率は6.1%となり、1月(6.2%)から低下して、統計データ公表以来の最低値を更新した。なお、1月以前の過去データには変更がなかった。

失業者数は2月の前月差で7.0万人減だった。ここのところ減少傾向が続くなかで、24年6月以降は12月に増加したのみで、8か月は失業者数が減少している。主要4か国で見ると、フランス(5.0万人)、ドイツ(0.5万人)が増加、スペイン(▲2.2万人)、イタリア(▲7.9万人)が減少した。スペインが13か月連続での減少となる一方で、ドイツは4か月連続で増加し、バラツキも目立つ。失業者数はコロナ禍前より116万人少なく、スペイン(コロナ禍前比▲76万人)が大きく、次いでイタリア(同▲36万人)も減少に寄与している(図表3)。

2月の若年失業率は14.2%となり、1月(14.1%)から若干上昇した。なお、若年失業率も過去データの修正はほとんどなかった。若年失業者数は2月で227.2万人(前月差+1.3万人)と2か月連続で増加したが、若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の233.9万人)を下回っている(図表4)。
国別の2月のデータを見ると、失業率は20か国中、悪化した国が5か国、改善が10か国、横ばいが6か国だった(図表5)。若年失業率は公表されている16か国中、悪化した国が7か国、改善が9か国だった(図表6)。
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が減少、就業者と非労働力人口が増加した(図表7)。ポルトガルは就業者と失業者が増加し、非労働力人口が減少する形となっている(図表8)。労働参加率はイタリアでやや減少したが、コロナ禍以降の最高水準付近にある。一方、ポルトガルの労働参加率はコロナ禍以降、一貫して上昇傾向にあり、2月はコロナ禍後の最高水準を更新した。

経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

 ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
  アドバイザー(2024年4月~)

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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