中国:25年1~3月期の成長率予測-前期から減速。目標達成に向け、政策効果でまずまずの出だしに

2025年03月24日

(三浦 祐介) 中国経済

■要旨
 
  1. 足元の中国経済は、外需や政策により安定を保っている。2024年10~12月期の実質GDP成長率は、前年同期比+5.4%と、前期(24年7~9月期)の同+4.6%から加速した。季節調整後の前期比(年率)も+6.6%と、前期(同+5.3%)から加速した。その後、25年1月から2月にかけて、外需が減速した一方、内需が持ち直しの動きをみせている。
     
  2. 主な需要の動向をみると、24年中好調であった輸出の伸びは、25年に入り低下した。他方、投資や消費など内需は、政策による効果が続いているとみられ、改善した(下左図)。企業の景況感や不動産市場に関しては、24年夏場以降みられた改善の動きが25年初に入った後、一服している。物価については、1~2月は春節の影響により変動が大きいものの、均してみると低調な状態が続いている。
     
  3. GDP成長率(前年同期比)を月次で推計した「景気インデックス」は、25年1~2月期、前年同期比+4.9%となった(下右図)。24年の経済を支えた輸出が減速していることも踏まえると、3月の景気次第で振れるとはいえ、25年4月16日に発表予定の25年1~3月期の実質GDP成長率は、前期から減速となる可能性が高い。25年3月に開催された全人代で設定された「+5%前後」の成長率目標の達成に向けては、まずまずの出だしとなるだろう。
     
  4. 全人代では、財政出動の規模拡大を中心に経済対策を強化する考えを示しているが、米中摩擦による追加関税の影響は今後徐々に顕現化する可能性が高い。対米輸出の減少をはじめとする下押し圧力に対して、経済対策が十分な効果を発揮し、経済の腰折れを回避することができるか否か、25年は24年にも増して不確実性の高い1年となるだろう。

 
■目次

1.足もとの概況と25年1~3月期の成長率の見通し
2.実体経済の動向
  (生産・投資・外需)
  (消費・家計)
  (不動産市場)
  (財政)
3.物価・金融の動向
  (物価)
  (金融)

経済研究部   主任研究員

三浦 祐介(みうら ゆうすけ)

研究領域:経済

研究・専門分野
中国経済

経歴

【職歴】
 ・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
 ・2009年:同 アジア調査部中国室
 (2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
 ・2020年:同 人事部
 ・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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