中国:25年1~3月期の成長率予測-前期から減速。目標達成に向け、政策効果でまずまずの出だしに

2025年03月24日

(三浦 祐介) 中国経済

(不動産市場)
不動産市場について、25年1・2月累計の住宅販売面積の前年同月比伸び率は、前月から低下し、前年減に転じた(図表13)。住宅販売価格(70都市平均)の前年同月比の伸びは、22年4月以降、35カ月連続でマイナスとなっているが、24年10月を底にマイナス幅の縮小が続いている。

供給側の動向に関して、住宅着工面積(3カ月後方移動平均)の伸びは、前月からマイナス幅が拡大した一方、住宅竣工面積(同上)の伸びは、マイナス幅が縮小した(図表14)。住宅完成在庫面積は依然増加しているものの、伸びは一段と低下しており、住宅在庫買い取り支援策の効果が表れている可能性がある。また、不動産開発資金(同上)の伸びは、24年春先以降、段階的にマイナス幅の縮小が続いている。
(財政)
財政の動向について、25年1・2月のデータは本稿執筆時点で未発表となっている。24年12月までの状況を振り返ると、一般会計の主要科目の歳出の伸びは24年初来、低下傾向にあったが、10月以降、顕著に改善した(図表15)。一般会計の歳入の伸びは、24年初来、前年減を続けてきたが、10月以降改善した(図表16)。税収が改善したほか、非税収入の伸びが大きく高まった。

3.物価・金融の動向

3.物価・金融の動向

(物価)
物価の動向について、25年1、2月の消費者物価指数(CPI)の推移をみると、春節の影響が大きいものの、低調が続いている(図表17)。豚肉価格や生鮮野菜等の食品価格の伸びは低下を続け、食品・エネルギーを除くコアCPI(1・2月平均)はゼロ近傍で推移した。工業生産者出荷価格(PPI)の伸びは、22年10月以降、29カ月連続でマイナスとなっているが(図表18)、24年10月を底にマイナス幅は縮小傾向にある。
(金融)
金融の動向について、25年1、2月のM2の伸びは、前月から概ね横ばいで推移した。社会融資総量の伸びは、小幅に高まった(図表19)。政府債券の伸びが高まった一方、それを除いた伸びは低下した。金融政策に関して、政策金利(リバースレポ・オペ、7日物)は24年9月に引き下げられて以降、据え置きが続いている(図表20)。貸出金利のベンチマークとなるLPRも、1年物、5年物とも、10月に25bps低下した後、横ばいで推移している。

経済研究部   主任研究員

三浦 祐介(みうら ゆうすけ)

研究領域:経済

研究・専門分野
中国経済

経歴

【職歴】
 ・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
 ・2009年:同 アジア調査部中国室
 (2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
 ・2020年:同 人事部
 ・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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