中国経済:24年10~12月期の評価-前期から加速するも、外需・政策依存。不動産不況には底打ちの兆し

2025年01月29日

(三浦 祐介) 中国経済

(不動産市場)
不動産市場について、住宅販売面積の伸びは、12月に小幅に低下した(図表13)。住宅販売価格(70都市平均)の前年同月比の伸びは、22年4月以降、33カ月連続でマイナスとなっているが、11月から12月にかけてマイナス幅が縮小した。ピーク(21年8月)時点から、価格は約1割下落している。

供給側の動向に関して、住宅着工面積の伸びは12月にマイナス幅が拡大した一方、住宅竣工面積の伸びはマイナス幅が小幅に縮小した(図表14)。住宅完成在庫面積は依然増加しているものの、5月をピークに伸びが低下傾向にあり、住宅在庫買い取り支援策の効果が表れているとみられる。また、不動産開発資金の伸びは、春先以降、段階的に持ち直す傾向にあり、11月から12月にかけてマイナス幅が縮小している。
(財政)
財政の動向について、一般会計の主要科目の歳出の伸びは年初来、低下傾向にあったが、10月から12月にかけて顕著な改善を続けている(図表15)。10月に経済対策の一環として発表された歳入減の補填強化の効果によるものとみられる。国債・地方専項債の発行ペースに関して、年初来累計発行額の推移をみると、8月以降、23年を上回る水準となったが、年間の発行予定額に徐々に達するにつれてペースはやや鈍化した(図表16)。

3.物価・金融の動向

3.物価・金融の動向

(物価)
物価の動向について、消費者物価指数(CPI)の推移をみると(図表17)、11月から12月にかけて小幅に上昇した。豚肉や生鮮野菜等の食品価格の伸びが低下した一方、食品・エネルギーを除くコアCPIは小幅に上昇した。工業生産者出荷価格(PPI)の伸びは、22年10月以降、26カ月連続でマイナスとなっているが(図表18)、11月から12月にかけてマイナス幅が縮小している。
(金融)
金融の動向について、M2の伸びは、12月に前月から上昇した。9月下旬にみられた株価急騰の影響は一服した。なお、M1統計については、2025年1月から定義が変更となり、従来は対象外であった家計の普通預金とノンバンク決済機関の利用者預託金が統計の対象に加えられることになっている。社会融資総量(政府債券を除く)の伸びは、前月から横ばいで推移した(図表19)。金融政策に関して、12月の政策金利(リバースレポ・オペ、7日物)は前月から据え置きとなった(図表20)。貸出金利のベンチマークとなるLPRは、1年物、5年物とも、10月に25bps低下した後、12月にかけて変化していない。
 
 

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経済研究部   主任研究員

三浦 祐介(みうら ゆうすけ)

研究領域:経済

研究・専門分野
中国経済

経歴

【職歴】
 ・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
 ・2009年:同 アジア調査部中国室
 (2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
 ・2020年:同 人事部
 ・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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