16 Zurichの米国子会社グループは、他の欧州の保険会社の米国子会社グループのような大きな規模を有していない。
(2) 地域別の業績-2022年との比較-
Zurichの決算数値は米ドル建で報告されているため、2022年との比較を見る上では、2023年の米ドルの主要通貨に対する状況等を考慮しておく必要がある。Zurichは通貨変動が各種指標に与える影響を開示している。
営業利益(生保)については、以下の通り。
・全体では、39%増加して、20億60百万ドルとなった。これには、ドイツの伝統的生命保険事業やチリの年金事業からの寄与は含まれていない(これらは売却のための保有に計上されている)。
・EMEAは、前年の移行関連の調整や一時的要因がなかったことやCSM残高の増加によるCSMの償却の増加により、28%増加して、12億68百万ドルとなった。
・北米では、不利な契約からの影響が、前年のマイナスからプラスになったことを主因として、1億38百万ドル増加して、1億8百万ドルとなった。
・アジア・太平洋では、主として前提の更新と再価格行動に関する良好な経験により、88%増加して、275百万ドルとなった。
・中南米では、主として収益の成長により、8%増加した。
・AUM(資産管理残高)は、ポジティブなネットフロー、好調な市場と為替の動きにより、12%増加して、2,595億ドルとなった。
営業利益(損保)については、保険収益の増加(6%の保険料率の増加にサポートされての保険料の成長による)と投資結果の増加により、前年にあった不動産取引がなくなったことにより一部相殺されたものの、7%増加して、38億93百万ドルとなった。
なお、新契約価値は、全体で5%増加した。
CSM残高は10%増加して、11,526百万ドルとなったが、これは有利な経済変動と為替の動きや基礎的なCSMの増加の組み合わせによる。