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「企業年金の改革」への期待
2024年01月09日
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岸田政権は「新しい資本主義」のもとで、「成長と分配の好循環」の実現に取り組んでいる。その一環で昨年策定された資産運用立国実現プランでは、検討課題の1つとして「企業年金の改革」が取り上げられ、施策の方向性が示されている。
その主な内容は、DBの運用力の向上やDCの適切な商品選択に向けた制度改善、DBやDCの運用の見える化(他社と比較可能な情報開示)などである。デフレ脱却によって重要性が高まる実質価値を考慮したDC運用の促進、転職時のDC移換手続きのサポートなど、加入者の利益になる施策が検討されることになる。
しかし、国民全体の金融資産所得を増やすことが大前提の「新しい資本主義」への貢献は限られよう。企業年金を含む私的年金の加入者が厚生年金被保険者の約3割に留まっているためだ。しかも、今後3年間に退職年金を新たに導入する予定のある企業は全体の1.6%に過ぎない(令和5年就労条件総合調査)。
「企業年金の改革」では、「企業年金を含む私的年金の更なる普及促進」も課題の一つとして組み込まれている。事業主に過度な負担を強いることなく、私的年金の普及拡大に資する方策となり、恩恵が広く行き渡る経済社会が創造されることが望まれる。
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