旅行支援により宿泊料の下落が期待できる。実際の宿泊料への反映状況(価格転嫁率)でみれば、Go To トラベルは概ね100%の価格転嫁となっている。しかし、全国旅行支援については、2020年10月から12月までは価格への反映は55.9%~73.5%程度にとどまっている。さらに、2023年1月以降は26.1%~43.8%と価格転嫁率は大きく低下している。消費者よりも旅行業界の収益の改善に資する結果となった可能性がある。
第1に、Go To トラベルなどの支援策が、Covid-19の感染拡大との関係で適切であったかである。先行研究では、Covid-19の拡大が続く状況ではかえって感染症を拡大させたと指摘している。
第2に、他の業界支援策との比較である。当時の業種別で影響を受けていたのはFace to faceのサービスを必要とする業種である。旅行業界を含むこれらの業種には種々の給付金が実施されており、旅行支援は旅行業界への上乗せとみることができる。Covid-19のような急激かつ正体不明なショックへの対応として追加的な支援が必要な業界への施策は重要である。しかし、それぞれの業種にとって、どのような施策が良いのか、欧米がおこなった施策も含めて、比較検証する必要がある。