(3)地域別展開に関する方針及びトピック
Zurichは、2022年に入ってからこれまでに、以下の地域別事業展開の見直し等を公表してきている。
2022年1月3日に、イタリアの伝統的な保険とユニットリンク保険の両方で構成される生命保険と年金のバックブックをポルトガルの保険会社Gama Lifeに売却することを発表した。これにより、グループの信用リスクへのエクスポジャーの大幅な削減を図ることができ、約12億米ドルの資本を解放し、グループのSST比率は11%ポイント増加する、と述べた。
2022年5月20日に、ロシアでの事業をユニットのチームの 11 人のメンバーに売却することに合意した、と発表した。新しい所有者の下で、ビジネスは別のブランドの下で独立して運営され、Zurichはもはやロシアでの事業運営を行わない。この取引により、新会社は保険の専門知識を蓄積した専門チームを保持し、ロシア市場へのサービスを継続することができる。なお、ジョイントストックカンパニーZurich Russiaの売却は、関連する規制当局の承認が必要となる。なお、Zurich Russiaは損害保険会社で、ロシアの損害保険市場の約 0.3%を占めている。2021年の総収入保険料は、国内顧客からの300万ドルを含め、約3,400万ドルだった。
2022年6月24日に、ドイツの生命保険ポートフォリオ管理の大手スペシャリストである Viridium Holding AGに、ドイツの伝統的な生命保険バックブックを売却することに合意した、と発表した。これは、資本集約度と金利へのエクスポジャーをさらに削減するための売却であり、金利に対する感応度の低下により、ボラティリティから保護するために必要な資本が削減される。この取引により、SST比率は8%ポイント増加する、と想定されている。なお、この売却は規制当局の承認を条件とし、顧客及び販売パートナーに対する契約上の義務を変更するものではない。
2022年12月1日に、イタリアの子会社のZurich Investments Life S.p.A.が、ポルトガルの保険会社 Gama Life(Companhia de Seguros de Vida)に、伝統的な保険とユニットリンク保険の両方で構成される生命保険と年金のバックブックの売却を完了したことを発表した。
7|(参考)Prudential
以前のPrudential plcは、2019年10月に、アジアと米国における保険事業を展開するPrudential plc
11と欧州における保険事業と投資管理事業を展開するM&G pl
12に分割された。さらに、Prudential plcは、2021年1月に、2021年第2四半期に米国事業であるJackson Financial Inc.
13をグループから分離することを決定した、と公表し、2021年9月20日に分離を完了したと発表した(なお、Jackson National Groupは、2022年末の認容資産で、米国の生命保険・健康保険グループで第9位(2021年末は第8位)となっている)。
現在のPrudential plcは、高成長のアジアとアフリカを中心に23の市場で、生命保険と健康保険及び資産管理事業を提供する会社となっている。アフリカでは8カ国(カメルーン、コートジボワール、ガーナ、ケニア、トーゴ、ウガンダ、ザンビア、ナイジェリア)で事業展開している。なお、M&G plcは英国と欧州を中心とした28の市場で保険事業と投資管理事業を展開している。
(1)地域別の業績-2022年の結果-
アジア・アフリカの事業の中では、香港の位置付けが最も高く、シンガポールがこれに次いでいる。その他に、中国、インドネシア、マレーシアの位置付けが高くなっている。