欧州大手保険グループとしては、欧州の主要国を代表する保険グループとして、AXA(フランス)、Allianz(ドイツ)、Generali(イタリア)、Aviva(英国)、Aegon(オランダ) 、Zurich(スイス)の6社を対象にしている。
AXA、Allianz、Aviva、Aegon及びGeneraliの5社は、これまで、FSB(Financial Stability Board:金融安定理事会) が選定していたG-SIIs(Global Systemically Important Insurers:グローバルなシステム上重要な保険会社)に指定されてきたことがある会社である
4。なお、4年前までの基礎研レポートで含めていたPrudentialについては、2019年10月に、アジアと米国における保険事業を展開するPrudential plcと欧州における保険事業と投資管理事業を展開するM&G plcに分割され、さらに2021年9月には米国子会社だったJackson Nationalも完全に分離されたため、これまで、さらには2020年と同様なベースでの数値の取得ができなくなっている。ただし、引き続きPrudential は世界を代表する保険グループとして重要なポジションを有しているので、参考として各種数値を掲載している。
なお、以下の図表の数値は、特に断りがない限り、各社の公表資料に基づいている。
4 FSBは2017年以降、G-SIIsのリストを公表していなかったが、2022年12月には、G-SIIs の年次特定を中止(discontinue)する、と公表している。
1|会社全体の業績
以下の図表は、欧州大手保険グループの保険料と営業利益の事業別内訳を示している。なお、AXAの場合、保険料の生保・損保別の内訳は開示されていないが、総収入(Gross Revenues)のうちの保険事業は100,514百万ユーロで、そのうち生命・貯蓄が31,515百万ユーロ、医療が17,418百万ユーロ、損害が51,581百万ユーロとなっている。
これからわかるように、今回報告の対象としている欧州大手保険グループは、生命保険事業と損害保険事業を展開し、さらに近年は、資産管理事業も会社によっては大きな位置付けを占めるようになってきている。ただし、グループ全体における生命保険事業と損害保険事業等のウェイトは、会社毎に異なっており、例えばAegonにおける損害保険事業は大きなものとはなっていない。
以下の分析では、主として、生命保険事業に焦点を当てて、各社の数値比較等を行っていくこととする。保険事業に関しても、例えばZurichの「Farmers」については分析の対象に含めていない。また、比較のため、各社が採用している経営指標等の数値に関わらず、営業利益に関しては「税引前」ベースに相当する数値を使用している。