中村 亮一()
研究領域:保険
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4―Insurance Europe(保険ヨーロッパ)の反応
2021年12月16日
EIOPAストレステストの結果は、1000年に1回の極端なイベントでも、顧客への約束を果たす欧州保険業界の能力を裏付けている
欧州保険・企業年金局(EIOPA)が実施した2021年のソルベンシーIIストレステストの結果が発表された後、保険ヨーロッパ副局長のOlav Jones氏は次のように述べている。
「この演習の結果は、特に欧州システミックリスク理事会が1000年に1回のイベントと推定したものを含むストレステストシナリオの極端な性質を考えると、業界の並外れた回復力を明確に示している。この結果はまた、流動性リスクは、保険会社によって監視及び管理されているものの、実際には重要な問題ではないことを確認している。」
「極端なシナリオでは、ユーロ圏の市場金利は約20年間で▲1%とはるかに低くなり、同時に殆どの主要な資産クラスが大きな損失を被ると想定している。伝統的に「安全な避難所」の資産と見なされてきたソブリン債でさえ、価値を失うと予測されている。さらに、シナリオでは、関連する保険契約者の20%が保険契約を解約し、保険会社は保険金のインフレ率が上昇する可能性があると想定している。」
「テストされた全ての保険会社が、このような極端なシナリオ(全て同時に発生)の下で顧客に対する全ての義務を引き続き果たすことができるという事実は、業界のバランスシートとリスク管理の強さを鮮明に示している。また、超低金利とパンデミックが顧客保護の観点から保険会社のビジネス上の課題として認識されることもあるが、現在の資本レベルはソルベンシーIIの目標をはるかに超える保護を提供するのに十分すぎることも示している。」
5―まとめ