中村 亮一()
研究領域:保険
研究・専門分野
2―GIMARについて
3―2021GIMARの概要
4―2021GIMARの具体的内容
パンデミックにもかかわらず継続している低金利環境は、保険会社に対して、直接的影響(例えば、収益性への負担)と、潜在的な間接的影響(例えば、生命保険商品の提供を変更したり、生命保険ポートフォリオをランオフさせたり、(再)保険事業の一部を移転させたりすることによって、利回りへのリーチやビジネスモデルの変更等の関連する経営活動から)をもたらしている。関連して、生命(再) 保険資産の取得に対するPE業界の関心の高まりは、一部の国で新たな傾向として認識されている。
監督当局は、保険会社にとって、保証付生命保険商品に見合う十分な利回りの資産を見つけ、著しく高いリスクを負わずに資産と負債の整合性を維持することが課題であると指摘する。
監督上の対応に関して、主な監督要素は、強化された監督上の対話、監督上の報告の更新、オンサイトレビュー、四半期ごとのモニタリングエクササイズ、ストレステスト及び感応度分析からなる。
規制措置は、追加金利準備金積立、最高保証金利の上限設定、保険契約者の解約及び/又は税金のペナルティ導入、利益分配規制の変更等に関するものである。
PEの所有については、監督当局はその影響を十分に評価し続けている。ある当局は、PEが保有する保険会社は、私募債やプライベートラベル資産担保証券(特にローン担保証券(CLO))へのエクスポジャーが増加する等、固有のリスクを有している可能性があることを認めている。また、別の当局は、PE所有は、PE所有企業が提供する投資の専門知識等の相乗効果をもたらす可能性があると指摘し、PE所有企業が保険業界の他の場所で発生しているPE所有企業と関連しているとされる信用の質の低下という同じ傾向を観察したことを示している。